2013年5月31日金曜日

年間報酬の平均額による標準報酬月額の算定(健康保険・厚生年金保険)

社会保険(健保・厚年)の標準報酬月額算定の特例のご案内です。
この算定方法は一昨年(平成23年度)より設けられたものですが、創設からまだそれほど期間が経過していないことから念のためご案内いたします。

1.どのような制度?

通常の方法[以下の]により算出した標準報酬月額と、により算出したものとを比べ2等級以上の差があり、この差が業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合、により標準報酬月額を算定することができます。
a  4月から6月の報酬額 
b 前年7月から当年6月(1年間)の報酬額

2.具体例

次のようなケースが考えられます(実際にはどのような業務を行っているかを申立書(様式1。このページの下に資料編としてまとめてあります)に記載し、認められたものが対象となります。

例:4月〜6月に以下のものに該当し報酬支払い額に通常月より高低が生じるとき。
・人事異動や決算のために時間外労働が増える部門
・入退社、転居に伴い業務が増加する引っ越し、不動産の業務
・その時期に収穫期を迎える農産物加工等
・夏季や冬季は繁忙期だが、4月〜6月は閑散期で低い報酬となる業務

3.効果

4月〜6月の報酬が他の月に比べて極めて高い(又は低い)ときは、徴収する保険料水準や給付の水準が、通常月の報酬により算出したものより高く(又は低く)なってしまうことがあります。
そこで、上記(1)(2)を比較し、2等級以上の差が生じるときは年平均の報酬(2)を使って標準報酬月額を算定できることとされました(平成23年より)。

4.注意点

この手続きをするときは、通常の算定基礎届と異なり、被保険者の同意を要する(このページの下にアップしている「様式2」に同意欄あり)ことが注意点です。

これは、低い標準報酬月額を採用したときに、保険料は低くなるメリットがあるのですが、事故発生時などに保険給付の額が低くなることがあるためです。

例…健保の傷病手当金は標準報酬月額を基に計算。
標準報酬月額が低いときは給付額も下がります。また、老後に受ける老齢厚生年金も標準報酬月額が計算の基となるためこちらにも影響が生じます。

5.資料編

手続きに用いる書式及び記載例
手続きについて、Q&A
留意事項
通達等
その他の資料(手続きには直接関係ありません)

2013年5月24日金曜日

障害者雇用に関する税制上の優遇措置

障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇制度が拡充されました。
取得した機械や設備について 割増償却ができます。
詳細は以下のリーフレットをご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/dl/koyousokushinzei_06_handileaf.pdf

6月23日追記
その他の税制上の優遇措置については、当informationの6月19日記事(障害者雇用促進法の改正案内)の下の方にも記載がありますので、併せてご確認くださいませ。


厚生労働省WEBサイト

2013年5月21日火曜日

キャリアアップ助成金の創設

この助成金は、非正規労働者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者等)のキャリアアップ等を促進するためのものです。

助成コースのメニューは以下のものがあります。
※金額や要件は一部を抜粋しています。企業規模や実施内容により金額が変わりますので、詳細は後掲するパンフレットをご確認ください。
 ※パンフレットのP20に「キャリアアップ助成金 対象労働者整理表」があります。また、P21には活用事例あり。

正規雇用等転換

  • 正規雇用等に転換等する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用等に転換等した場合に助成
  • 1人あたり20~40万円

訓練実施

  • 有期契約労働者等に一般職業訓練(OFF-JT)または有期実習型訓練(「ジョブ・カード」を活用したOFFJT+OJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)を 行った場合に助成
  • OFFJT…1人1時間あたり800円、経費助成1人あたり20万円上限。
  • OJT…1人1時間あたり700円。

処遇改善

  • 基本給の賃金テーブルを改定し、3%以上増額させた場合に助成。
  • 1人あたり1万円。

健康管理

  • 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を規定し、延べ4人以上実施した場合に助成
  • 1事業所40万円

短時間正社員

  • 短時間正社員制度を規定し、(1)雇用する労働者を短時間正社員に転換し、または(2)短時間正社員を新規で雇い入た場合に助成
  • 1人あたり20万円。

パート労働時間延長

  • 週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長した場合に助成
  • 1人あたり10万円。

パンフレット

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/dl/careerup_pamphlet.pdf

活用サポート

検討されている会社様につきましては、管理人事務所において活用サポートを行っています。「問い合わせ・依頼フォーム」よりお気軽にお問い合わせください。

2013年5月18日土曜日

雇用調整助成金一部変更 平成25年6月より

雇用調整助成金は、平成25年6月1日以降一部変更があります。
既に利用中の会社も影響を受ける部分がありますのでお気をつけください。

変更点は次の3つ

  1. 雇用指標の確認
  2. 残業相殺の実施
  3. 短時間休業実施の際の助成対象変更

雇用指標の確認

最近3か月の「雇用保険被保険者数受け入れている派遣労働者数の合計」の平均値を、前年同期と比べる。
一定以上増加がないことが支給要件に追加。
※基準は中小企業と大企業で異なる。詳細は末尾のリーフレット参照。
※対象期間の初日(助成金利用開始日)を平成25年6月1日以降に設定する会社が対象。

残業相殺の実施

休業・教育訓練を行った判定基礎期間内に、その対象者が時間外労働をしていた場合、時間外労働時間相当分を助成額から差し引く。

短時間休業実施の際の助成対象変更

次の短時間休業は助成対象とならない。
  1. 始業時刻から、または終業時刻まで連続して行われる休業ではない場(例:就業時間8:30~17:30の事業所で、13:00~14:00の短時間休業を行う)
  2. 短時間休業実施日に、対象者に対して休業時間以外の時間に有給休暇を付与する場合。
  3. 出張中の労働者に短時間休業をさせる場合。

参考資料

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/pdf/jyoseikin07.pdf

2013年5月17日金曜日

地方労働行政運営方針:厚生労働省 平成25年度

厚生労働省より平成25年度地方労働行政運営方針が発表されました。
運営方針についての詳細は以下のリンク先をご覧ください。

地方労働行政運営方針のうち会社側の注意点をいくつかピックアップします。

1 労働基準行政の重点施策

自動車運転者等の特定の労働分野における労働条件の確保対策等を推進する。」とあり。
具体的な業種を掲げて労働条件確保について言及しています。

トラック、タクシー等の運転業務を行う業種のうち、長時間労働が恒常的になっている職場については、要注意(時間外労働の削減、休憩や休日の確保を検討していった方がよい)です。

その他、業種名が出ていたのは医療分野です。
「雇用の質」の向上のための取組等を推進するとありました。

雇用の質が何を指すのかまでは不明ですが、労働基準監督署の立ち入り調査の対策としてだけではなく、過重労働防止、労使間のトラブルを回避していくためにも、労働条件の明示、就業規則の整備などを行いながら労働条件の適正化を図っていきましょう。

長時間の残業が発生している事業所については、従業員に「働く時間を短くしろ」と伝えるだけでなく会社全体で労働時間を減らす取り組みを実施していくとよいですね。
例えば…
  • 作業手順や社内のルールで省いたり見直す余地はないだろうか。
  • 類似の作業を複数の人が実施していないか。
  • 繁忙期と閑散期の予測を立てやすい職場であれば、変形労働時間制を導入して総労働時間を削減できないだろうか。
など。

ご参考までに
以下のリーフレットは厚生労働省で発行している「過重労働による健康障害を防ぐために」です。 
http://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/worker/files/H22_kajuu_kani.pdf
月80時間程度の残業が常態化しているときは健康障害のリスクが高くなるとされ、万が一、従業員が倒れてしまったときなどは安全健康配慮義務を欠いたことにより会社側の賠償責任が生じることもあります。
100時間の残業時間をすぐに0時間にするのは現実的ではないと思いますが、まずは業務分担その他の方法により少しずつでも減らしていく工夫をしていきましょう。

2 雇用均等行政の重点施策

取り上げられていたものを一部抜粋します。
  • 配置・昇進の性差別禁止に係る指導に重点を置く。
  • 育児・介護休業法の確実な履行確保を図る。
  • パートタイム労働法に基づく適切な指導。


3 労働保険適用徴収業務等の重点施策

「労働保険料等の適正徴収として、収納等の向上、口座振替制度の拡大等を進め、労働保険の未手続事業場に対し、手続指導にとどまらず職権により積極的に保険関係を成立させる。」とのこと。

未手続き事業場に対し「職権により積極的に保険関係を成立させる」とあり、力を入れて取り組んでくる様子が伺えます。

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以上です。
内容は多岐にわたるのですが、従来と同様に雇用創出や人材育成など推進していく旨の記載あり。