2013年6月30日日曜日

年金と雇用保険給付の受給者の届出省略 平成25年10月

6月後半に、厚生年金基金等に関する改正法が公布されました。
これについては別途案内することとし、本日は年金と雇用保険の給付を両方受ける者の届出一部省略に関するご案内です。

制度概要

65歳未満の老齢厚生年金と雇用保険の給付(基本手当・高年齢雇用継続給付)を受給できるときは、老齢厚生年金が支給停止されます。

従来は

雇用保険の給付を受けることとなったため、老齢厚生年金の支給停止要件に該当したときは、「支給停止事由該当届」を日本年金機構に提出する必要がありました。

改正内容

日本年金機構が雇用保険被保険者番号を把握している受給権者については、支給停止事由該当届の提出を不要としました。

[参考]日本年金機構が雇用保険被保険者番号を把握している受給権者とは、具体的には次のいずれかに該当する者です。
  1. 老齢厚生年金の裁定請求の際に裁定請求書に雇用保険被保険者番号を記載した者
  2. 支給停止事由該当届をすでに提出したことがある者

改正の理由

雇用保険被保険者番号や支給停止の要件に該当することとなった年月日などは、厚生労働省職業安定局で把握しており、この情報を利用することで支給停止の要件に該当しているか否かを把握することが可能であるため。

施行日

平成25年10月1日。
支給停止事由該当届の提出を不要とするのは、平成25年10月1日以後に支給停止の要件に該当した65歳前老齢厚生年金の受給権者に限られます。

参考資料

http://www.office-sato.jp/_src/sc4184/2013.06.28_nenkin6_siryou_kounen_koyou_tyousei.pdf

2013年6月29日土曜日

ポジティブ・アクションの紹介

厚生労働省より先月発行されたリーフレットの紹介です。
職場における男女間格差の実態を把握、女性の活躍推進や格差解消に向けての取り組み(ポジティブ・アクション)に関するものです。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku04/pdf/120515-01.pdf

2013年6月26日水曜日

労災就学援護費の一部改定(平成25年4月に遡り適用)

2015.06追記
この記事は、平成25年改正のものです。
2015(平成27年)改正の内容については以下のリンクをご覧ください。
「労災就学援護費の支給についての一部改正及び労災就労保育援護制度の新設等についての一部改正について」平成27年5月18日



業務災害または通勤災害によって亡くなられた者の遺族や、重度障害あるいは長期療養を余儀なくされた者で、その子供等に係る学費等の支弁が困難であると認められるときは、労災の保険給付とは別に労災就学援護費が支給されます。

支給対象の追加

労災就学援護費の支給対象に以下のものが追加されました。
・通信制中学校
・通信制高等学校
・中等教育学校の後期課程の通信制課程
・特別支援学校の高等部の通信制課程
・通信制専修学校

[背景]
通信制大学の在学生は既に援護費の支給対象となっていることや、通信制高校にかかる教育費の現状を踏まえ、通信制大学以外の通信制課程の学校が新たに支給対象とされました。

支給額

・通信制専修学校の専門課程…月額30,000円
・それ以外の通信制…月額13,000円

適用

平成25年4月1日に遡って適用されます。

通達

平成25年6月24日基発0624第2号


関連情報:労災就学援護費の見直しについて

参考資料

こちらのパンフレットのP11に「労災就学援護費」の案内あり。
なお、労災就学援護費の案内の中にある「高校生」の子がいるときの支給額は平成25年4月から変更となっています。以下の関連情報に変更内容を記載しています。
労災給付等

関連情報

今年の4月には高校生の子がいるときの労災就学援護費の額が改定[18,000円→16,000円に引き下げ]されています。

[背景]
公立高校授業料無償制度等の創設による影響や、家庭の教育費負担の現状等を踏まえ改正されました。

通達

平成25年3月29日基発0329第12号

2013年6月23日日曜日

社会保険:外国人のアルファベット氏名登録 平成25年7月以降

平成25年7月から、外国人被保険者の年金記録を正確に記録するための取り組みとして、外国人被保険者のアルファベット氏名を管理することとされました。

外国人の従業員や被扶養配偶者の方の「被保険者資格取得届」「氏名変更届」等を提出する際は、「アルファベット氏名登録(変更)申出書」も一緒に提出します。

注1 添付資料
「在留区分」欄の「2 中長期在留者等」に該当する者については、在留カードのコピーまたは住民票の写し(コピー可)を添付。

注2 電子申請の取扱い
「資格取得届」等について、電子申請により行っている場合でも、アルファベット氏名登録(変更)申出書及び添付書類は、電子申請による取扱いを行っておらず、紙媒体での届出

http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000012518e7OE1POdJL.pdf
※Excel版の申出書は、こちらのリンク先にあります → 日本年金機構:外国人を雇用されている事業主の方 

http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000012524tJJgzqqmK5.pdf

日本年金機構のお知らせや記載例は、以下のリンク先をご確認ください。


[アルファベットの氏名を管理することとした背景]
日本年金機構(以下「機構」)において、外国人の氏名はカナで管理されています。
外国人が住民基本台帳に登録され、アルファベットで管理されることに伴ない、市町村との情報交換においてアルファベット使用が必要となることなどから、機構においても外国人氏名について、カナ氏名とともに(パスポートに表示されている)アルファベットによる管理を進めることとされました。


[関連資料]
平成25年6月20日 第4回年金記録問題に関する特別委員会 資料

2013年6月22日土曜日

受動喫煙防止対策助成金 通達(Q&A・書類作成要領の一部改定)

受動喫煙防止対策助成金」は、事業場における受動喫煙防止対策を推進することを目的とした助成金です。

平成25年5月16日から対象を全業種に拡大し、喫煙室の設置等に対する経費補助率は1/2にアップしました。
この助成金に関する「質疑応答集(Q&A)」と「必要書類の作成要領」の改定について、6月19日に通達が出されていますのでご案内します。


参考情報:制度概要

対象事業主
労働者災害補償保険の適用事業主である中小企業事業主。
中小事業主の範囲については、以下にリンクを貼ったパンフレットを参照してください。

助成対象
一定の要件を満たす喫煙室の設置に必要な経費
工事の着工前に「受動喫煙防止対策助成金交付申請書」を所轄都道府県労働局長に提出し、あらかじめ交付決定を受ける必要があります。

助成率、助成額
喫煙室の設置等などに係る経費のうち、工費、設備費、備品費、機械装置費などの2分の1 (上限200万円)


参考資料

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/jigyousya/kitsuenboushi/dl/pamphlet.pdf

通達

報道発表資料
※平成25年5月16日から対象を全業種に拡大、補助率を1/2にアップ。
厚生労働省ホームページ

2013年6月21日金曜日

脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況 平成24年度

平成24年度の「脳・心臓疾患精神障害の労災補償状況」が公表されました(厚生労働省)。
報道発表資料では、業種や年齢別の労災補償状況も掲載されています。

支給決定数の多い業種、受給者が多い年齢層の労働者を雇用する会社については今後の働かせ方に要注意。
また、精神障害に関する労災補償は過去最多を更新しています。
企業のメンタルヘルス対策はますます重要になってくると思われます。

当informationでは、ちょうど1年前(2012年6月20日)の記事で、脳・心臓疾患、精神障害の労災認定に関する資料をまとめました。
健康障害を防止するために発行された冊子のリンクなどありますので、長時間労働が常態となっている会社の方はぜひご覧ください。


以下、報道発表の中から一部抜粋をします。
報道発表資料には「ポイント」としてもっと詳しく掲載されていますので、関心のある方はそちらをご覧ください。

脳・心臓疾患

労災補償状況
「過労死」など、脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況は次の通り。
  1. 請求件数  :3年ぶりに減少(842件、前年度比56件減)
  2. 支給決定件数:2年連続で増加(338件、前年度比28件増)
業種
支給決定件数の多い業種を掲げます。
  1. 運輸業,郵便業
  2. 卸売業,小売業
  3. 製造業

精神障害

労災補償状況
精神障害に関する事案の労災補償状況は次の通り。
  1. 請求件数  :前年比減少(1,257件、前年度比15件減)
  2. 支給決定件数:過去最多(475件、前年度比150件増)
業種
支給決定の多い業種を掲げます。
  1. 製造業
  2. 卸売業,小売業
  3. 運輸業,郵便業・医療,福祉

2013年6月19日水曜日

改正 障害者雇用促進法のご案内

平成25年7月4日追記
本文中にある「改正概要」のPDF資料は、当初国会提出時のものをアップしていましたが、厚労省WEBサイトにさらに情報を追加したものが公開されましたので、平成25年7月4日に差し替えました。


平成25年6月13日、国会で可決・成立した「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正法についてです。6月19日に改正法が公布されました。

改正法の施行は内容により段階的に行われ、法定雇用率の算定基礎に「精神障害者」を加える改正は、5年後{平成30(2018)年4月}からとなります。

改正法の官報、条文、通達


改正の概要

まずはポイントだけでも押さえておきたいという場合は、「改正概要」をご覧ください。
A4用紙4枚にまとまっているため主な改正点を掴みやすいです。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha_h25/dl/kaisei02.pdf 
↑当初国会提出時の改正概要を貼っていまたが、それより情報を追加されたものが公開されましたので、平成25年7月4日に差し替えました。

条文レベルでさらに細かく見ておきたい場合は、改正法のうち重要と思われる箇所を以下に取り上げましたのでご覧ください。
文字数が多く、読みにくいかもしれませんが青字で強調している箇所を追っていくだけでも、大事な点をおおむね把握できるのではないかと思います。
改正法の全条文を確認するときは、「平成25年6月19日 官報本文」、または下の方にリンクを貼った国会提出時の資料をご覧ください。

Ⅰ 障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応
平成28年4月1日から。

(1)障害者に対する差別の禁止
雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止しました。
  1. 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。(法34条)
      
  2. 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない(法35条)

(2)雇用の分野における均等な機会、待遇の確保等
事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するため、障害の特性に配慮した必要な措置を講ずることを義務付けました。
ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合は除かれます(「過重な負担」がどのようなものかは指針で定める)。
  1. 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。(法36条の2)
      
  2. 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。(法36条の3)
      
  3. 事業主は、1.及び2.の措置を講ずるに当たっては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。(法36条の4,1項)
      
  4. 事業主は、2.の措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。(法36条の4,2項)

(3)苦情の自主的解決・紛争解決援助・調停
  1. 不当な差別的取扱い[法35条:前記(1)2]、障害の特性に配慮した必要な措置[法36条の3:前記(2)2]に関し、障害者である労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関。)に対し当該苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。(法74条の4)
      
  2. 都道府県労働局長は、障害者に対する差別の禁止[法34条、35条:前記(1)]、障害者の特性に配慮した措置[法36条の2、36条の3:前記(2)1、2]についての紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。(法74条の6,1項)
      
  3. 事業主は、障害者である労働者が2.の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない (法74条の6,2)
      
  4. 調停都道府県労働局長は、差別的取扱いの禁止[法34条、35条:前記(1)]及び均等待遇の確保等[法36条の3:前記(2)2]についての紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会に調停を行わせる。(法74条の7,1項)


Ⅱ 精神障害者を含む障害者雇用率の設定 重要
平成30年4月1日から。
  1. 対象障害者{身体障害者、知的障害者又は精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る。)}である労働者の総数を算定の基礎とした障害者雇用率を設定し、事業主はその雇用する対象障害者である労働者の数がその雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数以上であるようにしなければならない。(法43条1項、2項)
      
  2. ただし、施行(平成30年)後5年間に限り、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする。(附則4条)


Ⅲ その他
障害者の範囲の明確化その他の所要の措置を講ずることとされました。
※障害者の範囲の明確化については公布日(平成25年6月19日)から。次のアンダーラインの箇所が改正により追加された部分です。
  • 「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。 )その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいうものとする。(法2条)

    なお、第2条の改正(アンダーライン部分の追加)の意図を、労働政策審議会障害者雇用分科会の議事録(平成25年3月21日)より引用します。
    障害者の定義規定の改正です。こちらは先般の障害者基本法の改正の表現に合わせて、法律の「障害者」のところに発達障害や難病に起因する障害が含まれることを明確にするため、精神障害の下に「(発達障害を含む)」と、「その他の心身の機能の障害」というものを明記するというものです。なお、これは改正の前後で障害者の範囲が変わるものではありません。


    改正の重要箇所の案内は以上です。
    今回の改正に関し、具体的なものはこれから指針(「差別の禁止に関する指針」「均等な機会の確保等に関する指針」において定めていくこととされています(法36条1項、法36条の5,1項)
    当informationにも掲載していきますので、今後の情報にお気をつけください。


    [参考]国会提出時(平成25年4月19日)の資料の一部

    さらに突っ込んで改正が行われるまでの審議内容などを知りたい、という場合は以下のリンク先にある議事録や平成25年3月21日の審議会資料(今回の改正が行われる直前のものです)をご確認ください。


    関連情報

    平成27年4月以降の改正(障害者雇用納付金制度の対象事業主の範囲を変更:労働者数100人超の企業へ)については以下のリンク先(当informationの別記事)をご覧ください。


    2013年6月18日火曜日

    職場における腰痛予防対策指針

    19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」が改訂されました。
    指針の内容および関連情報は以下のリンク先にあります。

    今回は、適用対象を福祉・医療分野等における介護・看護作業全般に広げるとともに、腰に負担の少ない介護介助法などを加えて改訂が行われています。
    腰に負担をかけることの多い作業従事者がいる会社の方は、ぜひご確認ください。

    [参考]
    職場での腰痛は、休業4日以上の職業性疾病のうち6割を占める労働災害となっています。


    以下は、上記リンク先の掲載内容です。

    1 指針の構成

    (1)一般的な腰痛予防対策の総論
    1. はじめに(指針の趣旨・目的等)
    2. 作業管理(自動化・省力化、作業姿勢等)
    3. 作業環境管理(温度、照明、作業床面等)
    4. 健康管理(腰痛健診、腰痛予防体操等)
    5. 労働衛生教育(腰痛要因の低減措置等)
    6. リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステム

    (2)作業態様別の対策(腰痛の発生が比較的多い5つの作業)
    1. 重量物取扱い作業
    2. 立ち作業(製品の組立、サービス業等)
    3. 座り作業(一般事務、VDT作業、窓口業務、コンベア作業等)
    4. 福祉・医療分野等における介護・看護作業
    5. 車両運転等の作業(トラック、バス・タクシー、車両系建設機械等の操作・運転)

    2 主な改訂事項・ポイント

    介護作業の適用範囲・内容の充実
    1. 「重症心身障害児施設等における介護作業」から「福祉・医療等における介護・看護作業」全般に適用を拡大
    2. 腰部に著しく負担がかかる移乗介助等では、リフト等の福祉機器を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱上げは行わせないことを記述
    リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステムの手法を記述
    1. リスクアセスメントは、ひとつひとつの作業内容に応じて、災害の発生(ここでは腰痛の発生)につながる要因を見つけ出し、想定される傷病の重篤度(腰痛に関しては腰部への負荷の程度)、作業頻度などからその作業のリスクの大きさを評価し、リスクの大きなものから対策を検討して実施する手法(労働安全衛生法第28条の2)
    2. 労働安全衛生マネジメントシステムは、事業場がリスクアセスメントの取組を組織的・継続的に実施する仕組み(労働安全衛生規則第24条の2)
    3. これらは、いずれも労働災害防止対策として取り組まれているものであるが、腰痛予防対策においてもこれらの手法が効果的であることから改訂指針に明記
    一部の作業について、職場で活用できる事例を掲載
    チェックリスト、作業標準の作成例、ストレッチング(体操)方法など

    2013年6月14日金曜日

    国民年金保険料の2年前納制度導入 平成26年4月

    平成26年4月から、国民年金保険料の2年前納(2年先の分までまとめて払ってしまう)制度が導入される予定です。

    現行は…
    1年分の前納が認められ、割引額は3,780円(平成25年度)。

    2年前納が導入されると…
    2年間で1万4千円程度の割引となる見込み。

    納付額は…
    1年前納 180,480円 → 176,700円(割引額3,780円)
    2年前納 360,960円 → 346,600円(割引額14,360円)
    ※2年前納額の試算は、平成25年度保険料によるもの。実際は変動することがあります。
    http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034ax9-att/2r98520000034b18.pdf


    以下は余談です。

    14,360円の割引額は大きいけれど一度に約35万円、夫婦揃ってとなると約70万円が飛んでいってしまいます。
    これは払うのが厳しい!というのが管理人の感想です(管理人は個人事業主なので国民年金の被保険者です)。

    今の年金財政状況を考えると、少しでも保険料をかき集めたいのでしょうけれど、新たに導入される2年前納のように取れるところから取るというその場しのぎの策ではなく、6割弱に低迷している国民年金の納付状況や年金制度そのものを見直さなくてはならない時期に差し掛かっているのでは、と考えています。

    もちろん、年金だけではなく生活保護制度や高年齢者の雇用問題、保険料負担をする若年者の雇用問題等も併せ総合的に考えていく必要があるでしょうね。

    ちなみに、国民年金制度は「社会保険方式」を導入しています。
    よく話にあがるのは「社会保険方式」より「税方式」の方が良いのではないかというもの。

    これに関しては、メリット・デメリットがあります。
    関心のある方は「年金 社会保険方式 税方式」のキーワードで検索をしてみると両者の違いを記したサイトがいくつもヒットしますのでそちらをご覧ください。


    管理人自身の考えは…
    「国民皆年金」「強制加入の制度」と言いながら6割弱しか保険料を納付していない状況は、制度として成り立っていない印象があります。

    社会保険制度は素晴らしい理念のもとに成立したと思いますが、保険料を払っていなかった方も生活保護等でカバーされ、結局は「正直者がバカをみる」制度になっていると感じるため賛同し難いものがあります(現行の制度を続けるくらいなら、税方式に移行した方がマシかなと感じています)。

    2013年6月10日月曜日

    現物給与の取扱い変更(社会保険:H25.4.1以降)

    平成26年2月25追記
    平成26年4月以降の現物給与の価額改定については、以下のリンク先をご確認ください。
    http://sr310.blogspot.jp/2014/02/h2641.html


    --- ここから下が平成25年6月にアップした内容です ---

    算定基礎届の提出時期(7月10日)が近づいてきましたね。
    平成25年4月以降、現物給与の取り扱い方法が変わっていますので算定基礎届の書類作成時にはお気をつけください。

    ※健康保険・厚生年金保険の標準報酬の額は、交通費等を含めた給与額に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物給与の額も含めて決定されます。
    当記事は2月13日に公開したものですが、参考資料4以降を追加して6月10日に再アップしました。

    現物給与の価額の適用に係る取扱い

    (1)支社等で勤務する者

    現物給与の価額の適用に当たっては、被保険者の勤務地(支社等)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。
    <解説>
    本社及び支店等を併せて1つの適用事業所とされている適用事業所の場合、支店等に勤務する被保険者についても、これまでは本社の所在地が属する都道府県の現物給与の価額が適用されていました
    現物給与の価額は生活実態に即した価額となることが望ましいことから、改正告示により、被保険者の勤務地(支社等)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用することが原則となるよう、現物給与の価額の新たな適用方法を定めたものです。

    (2)派遣労働者

    派遣労働者は派遣元事業所において社会保険の適用を受けるが、派遣元と派遣先の事業所が所在する都道府県が異なる場合は、派遣事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。

    (3)在籍出向、在宅勤務者等

    在籍出向、在宅勤務など適用事業所以外の場所で常時勤務する者については、適用事業所と常時勤務する場所が所在する都道府県が異なる場合は、その者の勤務地ではなく、その者が使用される事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。

    (4)トラック運転手、船員等

    トラックの運転手、船員など常時勤務する場所の特定が困難な者については、その者が使用される事業所が所在する都道府県(船員については当該船員が乗り組む船舶の船舶所有者の住所が属する都道府県)の現物給与の価額を適用する。


    参考資料1
    (平成25年2月4日基労徴発0204第2号,保保発0204第1号,年管管発0204第1号)
    http://www.office-sato.jp/_src/sc4142/2013.02.04_genbutukyuyo_henkou201304.pdf

    参考資料2
    (平成25年2月4日保発0204第1号・年管発0204第1号,基発0204第1号)

    参考資料3
    http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/0000010387ovGrNG5ltZ.pdf

    参考資料4
    p18に現物給与の取扱変更について記載あり
    http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/0000012221Kwmoo6dzra.pdf
    ガイドブックのp18には「産前産後の休業期間中の保険料免除について」も記載されています。

    実施時期として「平成26年8月までの政令で定める日に実施となります。」と書かれているのですが、こちらは既に政令が公布され、【平成26年4月】から産前産後休業中の保険料免除がスタートすることとなりました。

    産前産後休業中の保険料免除については当informationの2013年5月13日の記事「産前産後休業中の社会保険料免除_平成26年4月より」に掲載していますのでそちらをご覧ください。


    算定基礎届の関連リンク

    ※算定基礎届の記載例、注意事項、提出するダウンロード様式などが掲載されています。

    2013年6月8日土曜日

    「雇用保険に関する業務取扱要領」の公開

    以下のリンク先は、雇用保険の手続きをされている会社の担当者や社会保険労務士にお薦めの情報です。
    厚生労働省のホームページに「雇用保険に関する業務取扱要領(平成25年6月1日以降)」が公開されました。

    管理人の事務所では、これまで加除式の書籍を購入しながら得ていた情報なのですが、ネットからも得られることとなり良かったです。

    というより、今まで公開されていなかった(管理人自身が公開されているのを把握していなかっただけかもしれませんが…)ことが不思議なくらいです。

    こういった情報の公開により行政機関への問い合わせの手間や時間を減らすことができ、官民双方のムダな部分を削減することにもつながるため、引き続き行政機関の内部の情報として保持されているものがどんどん公開されていくと良いと感じています。


    以下、業務取扱要領のうち、一部を取り上げます。(6月9日追記)

    ※やや細かい内容について記載しています。
    日頃、雇用保険の手続きに従事していない方にとっては退屈な内容かもしれませんので読み飛ばして頂いて結構です。
    また、興味を持たれた方や実務で扱われている方については該当ページを記載しますので、できれば原文(取扱要領)の方でご確認ください。

    今年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、定年後に継続雇用される方が多いと思いますが、一方では更新されず退職扱いとなるケースも出てくると思います。

    定年後の継続雇用者が退職したときに、受給資格の決定ではどのように取り扱われるか(特定受給資格者や特定理由離職者として扱われるか)について触れていきます。

    [参考]特定受給資格者・特定理由離職者の範囲
    所定給付日数や給付制限期間を決める際に、有利(例:所定給付日数が多い。給付制限期間の3箇月を経ることなく受給する等)に扱われます。



    定年退職者の継続雇用後の取扱
    取扱要領のうち「一般被保険者の求職者給付」の部分を取り上げます。


    p67〜
    「特定受給資格者の範囲」の中に次の表記{p73(ト)}があります。
    期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったこと

    p74 b
    60歳定年到達後に期間の定めをしていた者が退職したとき、特定受給資格者に該当するかどうかについて、業務取扱要領では以下のように取り扱うこととされています。
    ※取扱要領の内容を箇条書きなどで表記を変えたり、管理人の方で補足をしていますので、正しい内容は原文を参照してください。


    ケース1

    定年退職後の再雇用時に契約更新の上限が定められている場合など再雇用期限の到来に伴い離職したとき。

    <1の例>
    60歳定年到達後、再雇用

    最大の契約更新上限時期を65歳として、1年単位の労働契約を更新

    65歳に達したことにより離職

    ○この場合は、特定受給資格者として取り扱われない。


    ケース2

    契約更新の上限が定められている場合であって、再雇用期限の到来前に離職したとき。

    <2の例>
    60歳定年到達後、再雇用(再雇用上限は65歳到達時)。

    1年単位の雇用契約が2回更新された。

    3回目の更新時に労働者が労働契約の更新を希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかった

    ○この場合は、特定受給資格者として取り扱われる。


    ケース3

    ・労働者は、定年後の継続雇用を希望していたが、
    ・就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当した。
    ・そのため60歳以上65歳未満の定年により離職。

    ○この場合は、特定受給資格者として取り扱われる。

    ※ケース3は、「解雇事由又は退職事由」と同一の事由として就業規則又は労使協定に定める「継続雇用しないことができる事由」に該当して離職した場合を含む。


    ケース4

    ・会社では継続雇用制度が導入されている。
    ・労働者本人が定年後の継続雇用を希望していない場合、及び継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため定年により離職した。

    ○この場合は、特定受給資格者として取り扱われない。


    ※ケース4に記載した要件のうち「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため定年により離職した場合」とは…。
    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律附則第3項に基づき、平成25年3月31日以前に労使協定により定めた継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため定年により離職した場合を言います。


    次に、p77に記載のある「特定理由離職者の範囲」を見ていきます。

    ここで触れるのは、次の要件に該当し特定理由離職者とされる者についてです。
    期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
    前述のケース2と異なり、3年以上雇われなかったとき(例えば、61歳になり1回目の更新時を迎えたときに更新されなかったケース)等が、この「特定理由離職者」と扱われるときに該当します。


    ★注意点
    期間の定めのある雇用契約を締結し「3年以上」を経過している者の雇止めの場合は、「特定理由離職者」ではなく「特定受給資格者{取扱要領のp73にある(ト)」に該当します。


    以上です。

    2013年6月3日月曜日

    雇用関係の助成金パンフレット_平成25年5月

    6月3日追記 当記事は5月23日のものですが末尾に「助成金検索表」へのリンクを加えました。

    平成25年度の雇用に関する助成金案内が発行されました(厚生労働省)。
    助成金メニューには主に以下のようなものがあります。
    • 経営が悪化する中で、休業や教育訓練、出向を通じて労働者の雇用を維持する
    • 企業規模縮小等により離職を余儀なくされる労働者の再就職支援を民間職業紹介事業者に委託する
    • 就職困難者(高年齢者、障害者、母子家庭の母等)を雇い入れる
    • 試行的・段階的に雇い入れる
    • 労働者の処遇や職場環境の改善を図る
    • 障害者が働き続けられるよう支援する
    • 仕事と家庭の両立支援やワーク・ライフ・バランスに取り組む
    • 従業員等の職業能力の向上を図る

    近年は非正規労働者の比率が高まってきましたが、そのような労働者の待遇を改善したり、育児休業からの復帰にあたり仕事と家庭の両立支援を行う企業向けの助成金、その他教育訓練に力を入れようと考えている会社に助成するものなど様々なものが設けられています。

      種類が多いので、概要を把握したい方はパンフレットをご確認ください。
      P3~P6に、どのようなときに助成金が支給されるかをまとめた表があります。
      http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/minaosi_rifu.pdf
      http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/koyouantei_b.pdf
      各助成金の詳細は以下のリンク先をご覧ください。
      http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
      http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/kensaku_hyou/
      助成金メニューが広範囲に渡るため、該当するものを探すだけでも大変だと思いますが、検索表により多くの会社がマッチするものを見つけ出し活用できるとよいですね。

      助成金の活用をサポートします
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