2013年10月22日火曜日

健康保険法第1条(目的規定)等の改正Q&A

平成25年10月23日に「法53条の2」の新設について追記しました。
この記事の下部をご覧ください。

平成25年10月1日より健康保険法の第1条(目的規定)が改正されました。
それに関するQ&Aが、厚生労働省保険局保険課より発せられていますのでご案内いたします。
http://goo.gl/kaCp7V

Q&Aより一部抜粋します

【質問1】
健康保険法等の一部を改正する法律により、健康保険法の第1条(目的規定)の改正が行われたが、その改正趣旨はどのようなものか
【回答】
○ 現行では、被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合や、被扶養者が請負業務やインターンシップ中に負傷した場合など、健康保険と労災保険のどちらの給付も受けられないケースがある。
○ 今回の改正趣旨は、こうしたケースに適切に対応するため、広く医療を保障する観点から、労災保険の給付が受けられない場合には、原則として健康保険の給付が受けられることとするものである。
その他、全部で9つのQ&Aがあります。
上記リンク先よりご確認ください。


新旧対照条文

以下の条文中【 】内が改正箇所です。
※2箇所の【 】のうち、後半の「【、死亡】」は内容面での変更はありません。

改正前 健保法1条
この法律は、労働者【の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者】の疾病、負傷【、死亡】又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
改正後 健保法1条
この法律は、労働者【又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外】の疾病、負傷【若しくは死亡】又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

↓以下は、平成25年10月23日追記しました。


新設規定

第1条改正のほか、第53条の2(法人の役員の扱い)の新設規定もありますので併せてご案内いたします。

概要
今回の第1条改正により、労災保険の給付が受けられない場合には、原則として健康保険の給付が受けられることとなりました。
健康保険と労災保険のどちらの給付も受けられないケースを解消しようというものです。

新設された第53条の2は、「法人の役員」の取扱いについて触れた規定です。

「法人の役員の業務上の負傷」については、使用者側の責めに帰すべきものであるため、労使折半の健康保険から保険給付を行うことは適当でないと考えられ、その法人の役員としての業務に起因する負傷等については、原則として保険給付の対象外としました(=従来と同様の扱い)。
→リンク先Q&A【質問2】を参照してください。

注1)
被保険者数「5人未満」の事業所の法人役員については、従来から業務に起因する傷病についても健保給付の対象とされていました。
この扱いは今後も変更なし(健保の給付を受けられる)です。
→前記Q&A【質問3】

注2)
被保険者数「5人未満」の事業所の法人役員については、従来は業務に起因した傷病に対し、傷病手当金を支給しないこととされていました。
今回の改正によりこの取扱いが変更され、「傷病手当金の支給対象とされる」こととなった点にお気をつけください。
→前記Q&A【質問4】

注3)
中小事業主等については、労災保険に特別加入することによって、業務上に起因する負傷等に対し、労災保険の給付を受けられる場合があります(この扱いは従来どおり)。
→Q&A【質問2】の回答4番目


参考

法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例 
第53条の2
被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。