2014年3月25日火曜日

うつ病を発症後の解雇に関する判決

昨日(平成26年3月24日)、うつ病を発症後に解雇された労働者が損害賠償を求めた最高裁の判決がありました。

解雇無効の訴えは一、二審とも認め、すでに確定。
上告審の争点は賠償額となっていました。

判決では、高裁が賠償額を減額理由とした事情は「社員側の責めに帰すべきではない」と判断(東京高裁の判決を破棄)し、審理を同高裁に差し戻しました。
高裁では、会社が支払うべき額が上積みされる見通しです。

事件名等

解雇無効確認等請求事件
裁判年月日 平成26年03月24日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 判決

判決要旨

労働者が過重な業務によって鬱病を発症し増悪させた場合において、使用者の安全配慮義務違反等を理由とする損害賠償の額を定めるに当たり、当該労働者が自らの精神的健康に関する情報を申告しなかったことをもって過失相殺をすることができないとされた事例

概要

  • 労働者は、液晶ディスプレイの製造ラインを構築するプロジェクトのリーダー
  • ープロジェクトへの従事中、休日に出勤することも多く、帰宅が午後11時を過ぎることも増えた。
参考:本件プロジェクトの立上げ後、4月まで間の法定時間外労働の状況(ここでは一部のみを抜粋しています。勤怠の状況や健康診断の受診状況などは、この記事の後半にリンクを貼った判決内容をご覧下さい。)
 平成12年12月…75時間06分
 平成13年 1月…64時間59分
 平成13年 2月…64時間32分
 平成13年 3月…84時間21分
 平成13年 4月…60時間33分
  • その後うつ病を発症
  • 平成15年1月:欠勤期間が就業規則の定める期間を超過したため休職発令
  • 定期的な上司との面談等を実施
  • 平成16年8月6日:休職期間の満了を理由とする解雇予告通知
  • 平成16年9月9日付け解雇

該当する判例検索(裁判所)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84051&hanreiKbn=02

判決の内容(PDF)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140325085331.pdf