2020年4月17日金曜日

休業手当を支払ったときの算定基礎届と月額変更届

20200521追記 
年金機構より令和2年の算定基礎届案内が公開されました。記事の下部に追記しました。

新型コロナウィルス感染拡大防止等のため、労働者を休ませ、その間に休業手当を支払われている事業所も多いのではと思われます。

健康保険法・厚生年金保険法では
  • 毎年7月10日までに算定基礎届(4月-6月の報酬額記載)
  • 固定給に一定以上の変動あるときに月額変更届(3月間の報酬額)
を届け出ることとされています。
今回は、3月間に休業手当の支給があったときの取り扱いについてご案内いたします。

参考
日本年金機構:算定基礎届の提出
日本年金機構:月額変更届の提出

休業手当を支払った月があるときの算定基礎届

まずは年金機構サイト内の留意事項(5)の表をご覧ください。
リンク:年金機構サイトへ
このような図です。以下の画像は見づらいと思いますので年金機構サイトの図を直接ご確認ください。

見るときのポイントは、7月の「☆ 」と「★」の部分です
7月の時点で一時帰休が解消されているかどうか
 

7月で一時帰休の状態が解消されているとき

上記表の1番と2番の取り扱い。
  1. (4月だけ休業手当支給有)…5月・6月の報酬で算定基礎届
  2. (4月〜6月まで休業手当支給有)…従前等級で決定

7月に一時帰休の状態が解消されていないとき

上記表の3番から7番をご覧ください
  1. (4月〜6月まで休業手当支給)…7月随時改定
  2. (4月は通常報酬、5月と6月は休業手当)…4月・5月・6月報酬で算定基礎届
  3. (4月は通常報酬、5月-8月休業手当)…8月随時改定
  4. (4・5は通常報酬、6月-8月休業手当)…4月・5月・6月報酬で算定基礎届
  5. (4・5は通常報酬、6月-9月休業手当)…9月随時改定

このように
  • 7月時点一時帰休が解消されているか否か
  • 休業手当支給があったのは何月なのか
これらを表に当てはめ、算定基礎届を提出するのか、あるいは月額変更届を提出するのかを判断します。

年金機構サイトに書かれた算定基礎届の取り扱いの表(冒頭で触れたもの)以外の場合はどうなるのか?と思い、調べてみたのですが、厚労省や年金機構のサイトでは見つけることができませんでした。

健保組合(関東ITソフトウエア健保)のサイトに、事例表が公開されていましたのでリンクを貼ります。
リンク:一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合の標準報酬月額について(事例表)


事例集のご案内

算定基礎届等を作成する際は、年金機構が公開している「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」も確認した上で進めていくことをお勧めします。

ページ番号は振られていませんが、10枚目以降の「一時帰休における標準報酬月額の決定・改定について」の箇所に、定時決定と随時改定でそれぞれ休業手当の扱いをどのようにするかが掲載されています。
公開元:年金機構 令和2年算定基礎届案内


算定基礎届の記入

一時帰休があるときの記入例は「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(年金機構:令和2年版)」の12ページをご参照ください。

ガイドブックP12の例
上記表番号の6番です。休業手当も含め、4月から6月の報酬で算定基礎届を提出
ガイドブックP12の例
上記表番号の1番です。4月の休業手当は含めず、5月と6月の報酬で算定基礎届を提出
公開元:年金機構 令和2年算定基礎届案内


随時改定について

一時帰休があったときの随時改定の扱いは、年金機構サイトの留意事項(3)にあります。
該当箇所を引用します。
一時帰休(レイオフ)のため、継続して3か月を超えて通常の報酬よりも低額の休業手当等が支払われた場合は、固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象となります。また、一時帰休が解消され、継続して3か月を超えて通常の報酬が支払われるようになった場合も随時改定の対象となります。


関連情報

上記内容を調べる過程で参照した資料のリンクを貼ります。

年金機構:疑義照会回答(厚生年金保険 適用)

疑義照会回答の中では、各種の疑義に対する回答が掲載されています。
例えば、
  • 一時帰休中に再雇用された者の扱い
  • 入社した当初から一時帰休ありの者の扱い
  • 一時帰休中の育休休業等終了時報酬月額変更
など。
疑義照会中にはその他にも数多くの情報が掲載されているため「一時帰休」でページ内検索(ctrl+F)していただくと関連する部分がいくつか出てきます。

年金機構リンク:主な疑義照会と回答について
↑年金機構の疑義照会が公開されているページです。
このページ内の下部にある「厚生年金保険 適用」が前記の疑義照会回答です。


以下は、一時帰休があった方の年間平均の報酬を用いる算定に関してです。
「定時決定の場合に行う保険者算定の基準の見直しに関するQ&A」
【Q14】が一時帰休の該当部分です。

「随時改定の場合に行う保険者算定の基準の見直しに関するQ&A」
【Q14】が一時帰休の該当部分です


日本年金機構 令和2年算定基礎届の案内 20200521追記

日本年金機構のサイトに、令和2年の算定基礎届の案内等が公開されました。
会場実施の事務講習会に代えて、事務説明動画が公開されています。
リンク先には、以下の情報が掲載されています
  • 事務説明動画
  • ガイドブック、事例集
  • 申請・届出様式
  • 8月・9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について

令和2年版 算定基礎届Q&A



当blogをご覧くださりありがとうございます。
最近の情報発信はtwitter等で行っていたものがほとんどで、blogは数年ぶりの更新でした。

国・各企業等による「働き方改革」が進められ、私の事務所(社会保険労務士です)でも働き方改革をサポートをさせていただいております。
新型コロナウィルス感染拡大に伴って働き方や生活など様々な面で制約が生じつつある中で、影響がなるべく少なく済むようにと準備や対策をとっているうちに、実は自分自身の働き方改革が進んでいなかったなと気づく部分も多く反省しているところです。

「自粛」「非常事態」などマイナスイメージの話題が飛び交う日々ですが、仕事と生活のことを見直す機会と捉え、働き方の工夫や改善などプラスになることも考えながら次につなげていこうと思います。