平成28年4月以降の
健康保険の改正点のご案内です。
※平成28年の
保険料動向については別記事(「
平成28(2016)年度の保険料率まとめ」)に記載しています。
更新情報
2015.09.01 公開
2016.01.25 厚労省発信のQ&Aを追記。ページ中段にあります。
2016.02.04 傷病手当金・出産手当金のリーフレット公開。追記しました。
2016.02.09 細部の扱い等を定めた省令等が公布されましたので、追記をしました。Q&Aの下に載せています。
2016.02.16 ページ下部に、入院時食事療養費の負担引き上げに関する情報を追加しました。
健保:標準報酬月額の等級区分の改定
現在は「121万円」が上限です。
3等級区分が追加され
「139万円」が上限となります。
追加される区分
- 127万円(報酬月額123.5万円以上129.5万円未満)
- 133万円(報酬月額129.5万円以上135.5万円未満)
- 139万円(報酬月額135.5万円以上)
※上記報酬月額に該当する場合でも、
平成28年4月時点での届出は不要です。前年の定時決定(7月10日)またはその後の随時改定の際に届出をしている報酬月額により、保険者側が職権で改定します。(参考:このページの下の方に掲載しているQ&A「問1」より。)
関連情報:
保険料額表→「
平成28(2016)年度の保険料率まとめ」
健保:標準賞与額の上限額
標準賞与額の上限額が引き上げられます。
標準報酬月額の等級区分の改定や標準賞与額の上限引き上げに伴い、現行の上限額を上回る報酬を受けている方に対する会社および被保険者負担の保険料が上昇します。
傷病手当金(出産手当金)の計算方法
傷病手当金を計算する際の
標準報酬月額は、「直近12月間」の平均額を用いることとなります。
出産手当金の計算も同様に変更されます。
これは「受給直前の標準報酬月額を高くし給付額を増やす」といった不正受給を防止すること等の観点から行われました。
- 改正前:休んだ日の標準報酬月額を用いて計算
- 改正後:支給開始日の属する月以前の継続した「12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額」を用いて計算
条文上の表記は、下部に官報リンクを貼りましたのでそちらをご覧ください。
計算方法変更に関するリーフレット
2016.02.04追記
Q&A 2016.01.25追記
2015(平成27)年12月18日に、厚生労働省より事務連絡として「Q&A」が発信されています。
→
「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」(PDF)
Q&Aの一部を引用します。
標準報酬月額の等級区分の追加について
問1 法改正により追加された標準報酬月額の等級の適用については、平成28年4月から同年8月までの間、前年の定時決定(又はそれ以降の直近の随時改定)の際の報酬月額を新しい等級にあてはめるということか。
(回答)貴見のとおり。平成28年3月の標準報酬月額の基礎となった報酬月額が123万5千円以上である場合、当該報酬月額を新しく追加される等級にあてはめ、厚生労働大臣又は健康保険組合(以下「保険者等」という。)の職権で改定することとなる。したがって、事業主からの新たな届出を要しない。
問2 随時改定により、平成28年4月に標準報酬月額を改定する場合であっても、上記に基づき保険者等が職権改定を行うのか。
(回答)平成28年4月から標準報酬月額を改定されるべき者については、随時改定が優先する。したがって、事業主から随時改定に伴う届出が必要である。
傷病手当金及び出産手当金の見直しについて
問5 改正後の傷病手当金の額の算定方法については、「支給を始める日」の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。)を平均することとされているが、一旦傷病手当金の額を決定すれば、その後標準報酬月額の変動があったとしても、傷病手当金の額は変更しないということか。
(回答)貴見のとおり。今回の改正により、傷病手当金の額はその支給を始める日において固定されることとなる。ただし、平均の算定に用いた標準報酬月額を遡及して修正する必要が生じた場合は、傷病手当金の額についても修正が必要である。
問11 平均の算定の対象となる標準報酬月額は、「被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る」とされているため、直近の継続した12月以内に保険者の異動(管理人注:「保険者の異動」とは、「協会けんぽ→健保組合」「A健保組合→B健保組合」のような変更があるときを言います。例えば、転職をした場合でも「協会けんぽ→協会けんぽ」のようなときは、「保険者の異動」には該当しません。)があれば、前に属していた保険者等により定められた標準報酬月額は平均の算定には用いないということでよいか。
(回答)貴見のとおり。この場合は、
(1)当該被保険者が現に属する保険者等により定められた直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
(2)当該被保険者が現に属する保険者が管掌する全被保険者(任意継続被保険者及び特定健康保険組合にあっては特例退職被保険者を含む。)の標準報酬月額(傷病手当金の支給を始める日の属する年度の前年度の9月30日時点のもの)の平均額
のいずれか少ない額を用いて、傷病手当金の額を決定することとなる。
施行規則等 2016.02.09追記
2016(平成28)年2月4日に、細かい取扱い等を定めた施行規則が公布されました。
健康保険法施行規則等の一部を改正する省令
平成28年2月4日_保発0204第2号_健康保険法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について(通知)
一部を抜粋します。
- 傷病手当金の支給申請に当たって、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月以内の期間において、当該傷病手当金の支給を受けようとする被保険者に適用事業所の変更があった場合(同一保険者内の変更に限る。)又は健保組合に合併、分割若しくは解散があった場合に所定事項(各事業所の名称、所在地及び各事業所に使用されていた期間)を記載した書類を添付して申請。(健保則第84条第7項)
- 被保険者(任意継続被保険者を除く。)であった者がその資格を喪失した日以後に傷病手当金の支給を始める場合は、資格を喪失した日の前日において被保険者であった者が属していた保険者等により定められた標準報酬月額を平均の算定に用いる。(健保則第84条の2第1項)
- 組合の合併、分割又は解散により権利義務を承継した組合又は全国健康保険協会は、合併、分割又は解散がある前の組合において定められた標準報酬月額についても平均の算定に用いる。(健保則第84条の2第2項から第4項まで)
- 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月以内の期間において、任意継続被保険者期間が含まれるときは、当該期間の標準報酬月額についても平均の算定に用いる。(健保則第84条の2第5項)
- 同一の保険者等において、同一の月に2以上の標準報酬月額が定められた月があるときは、当該月において最後に定められた標準報酬月額を平均の算定に用いる。(健保則第84条の2第6項)
- 傷病手当金の支給を受けている期間に別の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、それぞれの疾病等に係る傷病手当金のいずれか多い額を支給する。(健保則第84条の2第7項)
- 出産手当金の支給申請及び支給額の算定方法について、上記アからオまでの規定を準用する。(健保則第87条第3項及び第87条の2)
その他の参考情報
上記のほかにもいくつかの改正が行われています。
以下のページ(協会けんぽ)にも概要が載っていますので、ご覧ください。
制度変更等に関する情報について ←協会けんぽWEBサイトへのリンクです。
※今回案内した3点の改正内容は平成28年4月施行ですが、上記リンク内にある改正内容は、施行日が平成28年4月ではないものもあります。
医療保険制度改革について
今回ご案内したもの以外も掲載されています。
医療保険制度改革案のポイント(協会けんぽ作成)
平成27年5月29日 官報 あらまし(該当部分抜粋)
平成27年5月29日 官報 法令(該当部分抜粋)
持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律について(厚生労働省)
なお、今回案内をした健保改正の他、国民健康保険等の改正も行われています。
全般が載った官報はこちら。
官報 あらまし
官報 法令
関連情報
入院時食事療養費の取扱(被保険者負担の段階的引き上げ)
従来 260円
平成28年4月以降
360円
平成30年4月以降
460円
※低所得者は据え置き
平成27年12月18日 厚生労働省保険局保険課 事務連絡
----- 健保法改正に関するその他の情報 -----
2016(平成28)年は、上記改正のほかにも短時間労働者への適用拡大、被扶養者の要件変更(兄・姉の同居要件を廃止)など行われる予定です。
2016(平成28)年の改正予定については、以下のリンク先もご覧ください。
2016(平成28)年 各種の改正予定