2012年11月1日木曜日

派遣先事業主に係る第三者行為災害の取扱い

以下は、10月1日施行の派遣法改正に関連して出された通達です。
【注】以下の表記は通達の文言を使わずにかみ砕いた部分もありますので、派遣先事業者など直接関連のある方は、なるべく原文でご確認ください。

通達の内容は、

「派遣労働者が派遣先で負傷したときは、労災給付の費用を派遣先に請求することがありますよ」というものです。

少し話は逸れますが…

仕事で車を運転中に他人から追突されてケガをしたときは、労災から保険給付が行われることがあります。
その際、労災側は追突した方(第三者)に対し、保険給付に要した費用を請求します。
第三者による行為が原因となって発生した災害を「第三者行為災害」といい、第三者に対して給付に要した費用を請求することを「求償」といいます。

話を派遣事業に戻します

通達は、
派遣労働者の被った労働災害のうち、次のものについては派遣先を「第三者」として扱い、労災費用の求償を行うこととしています。
  1. 派遣先による直接の加害行為があり、災害の態様から第三者行為災害であることが明確なもの
  2. 派遣先事業場内の通路での派遣労働者の転倒等、直接の加害行為はないが、派遣先が労働安全衛生法に違反していたとき等
派遣労働者の場合、派遣元に災害補償責任がありますが、通達にあるように派遣先側の加害行為や安全衛生法違反等があるときは、派遣先に対する求償が行われることがある旨を、派遣先は留意しておく必要があります。


給付額の「控除」について

上で求償について触れましたが、被災労働者が派遣先から損害賠償を受けたときは、労災からの給付が減額(通達内では「控除」と表記)されます。
要は、同一の傷病に対し「派遣先からの損害賠償」と「労災給付」の性質が重複する部分(金額)についてはもらうことはできない仕組みになっています。
ちなみに、慰謝料や物的損害に対する損害賠償のように労災給付とは性質が異なるものについては調整の対象とはなりません。