2015年8月29日土曜日

年金適用事務取り扱い変更 平成27年10月~

平成27年10月から、年金に関する事務取扱いの変更があります。
  1. 「70歳以上被用者該当届」の提出者の範囲拡大
  2. 同月中の被保険者の資格取得・喪失に関する保険料の取扱い変更

1 「70歳以上被用者該当届」の提出範囲拡大

昭和12年4月1日以前に生まれた者(※)は「70歳以上被用者該当届」の提出を不要とされていました。
この取り扱いが変更され、今後は提出を要することとなります。
(※)平成27年10月時点で78歳(誕生日前の場合には77歳)以上

提出に伴う影響

提出書類には、該当者の報酬額を記載します。
それに基づき報酬と年金額に応じた老齢厚生年金の支給停止が行われます。

支給停止の仕組み(日本年金機構WEBサイト)

65歳以後の在職老齢年金の計算方法
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html

保険料について

70歳以上の者は厚生年金保険の被保険者とはなりませんので、上記書類を提出した場合であっても、保険料は徴収されません

参考までに

「平成12年4月1日以前生まれの者」が提出不要とされていたのは、平成19年に行われた法改正と関係があります。

厚生年金保険では、70歳になると被保険者の資格を喪失します。
前述の「報酬と年金額に応じた老齢厚生年金の支給停止」は、被保険者を対象として行われるため、平成19年3月以前は、70歳以上の者(=被保険者資格を喪失)は会社から報酬を受けている場合であっても支給停止の対象とならず、報酬と年金の両方を全額受けることができました。

現役世代に重い負担を課している中で、70歳以上の者で高収入を得ているものに対する老齢厚生年金の支給は、世代間の公平性に欠けるとのことから、平成19年4月より、70歳以上の被用者に対しても報酬と老齢厚生年金額とで支給調整をすることになりました(70歳以上被用者該当届を提出させ報酬額を把握)。
ただし、この運用は平成19年4月以降に70歳に達する者を対象とされ、平成19年4月時点ですでに70歳以上の者(昭和12年4月1日以前生まれの者)は対象外とされました。

今回の改正により、これまで提出不要とされていた方も提出対象者とし、一定の報酬額と年金額を受けている場合は、年金額の全部または一部の支給を停止されることとなります。

被用者該当届については、以下のリンク先(日本年金機構)からダウンロードできます。
70歳以上被用者該当・不該当届の提出
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20140220.html

2015.09.29追加
なお、4分の3未満の働き方等で「70歳以上被用者該当届」の提出対象とならない方については、今回は「不該当届」は提出しなくてもよいとのことでした(9月29日年金事務所確認済)。



2 同月中の被保険者の資格取得・喪失に関する保険料の取扱い変更

厚生年金保険の被保険者資格を取得した月に、資格を喪失した者(要は、入社してすぐに辞めてしまったケースです)が、さらのその月に国民年金の第1号被保険者となった場合の保険料の取り扱いが変わります。

従来厚生年金保険国民年金の両方の保険料を納付
今後国民年金保険料のみでよい

該当者する被保険者が在籍していた事業所には年金事務所から連絡があります。
既に給与支給を終えていた場合は、返金が生じる可能性があります。

なお、健康保険(および介護保険)では、このような取り扱い変更が行われていませんので、同月中に取得、喪失があった場合であっても従来どおり(保険料を納付)とされます。


参考資料

0 件のコメント:

コメントを投稿

お気づきの点などございましたら、コメントお待ちしております。
より理解しやすいもの・読みやすいものを意識して情報を発信していきます。