更新履歴
…更新数が増えてきたため途中の履歴は削除し、最初と直近のものだけ表示しました。
2014.11.29 元記事アップ
2015.03.20 施行規則、指針など公布(2015.03.18)され、通達なども出ましたので、内容を更新しました(第一種・第二種計画のダウンロード様式、施行規則、指針、通達等は下部の「資料編」にリンクを貼っています)。
本文はここからです。
「
専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(有期雇用特別措置法)」が平成26年11月28日に、施行規則等は平成27年3月18日に公布されました。
この法律は、
次の(1)または(2)の有期雇用労働者がその能力を有効に発揮できるよう、事業主が雇用管理に関する特別の措置を行う場合に、
労働契約法の「無期転換ルール」に特例(=無期転換申込権が発生しない)を設けたものです。
(1)
高度な専門的知識などを持つ有期雇用労働者
(2)
定年到達後に継続雇用される有期雇用労働者
【参考】労働契約法の「無期転換ルール」とは
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる仕組みをいいます。(労働契約法第18条)
概要1
特例の対象となる有期雇用労働者
特例(=無期転換申込権が発生しない)の対象者は、次のものが該当します。
- 5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に従事する、高収入(1,075万円以上)、かつ高度な専門的知識・技術・経験を持つ有期雇用労働者
- 定年後に、同一の事業主または「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」における特殊関係事業主に引き続き雇用される有期雇用労働者。
参考
前記1の「高収入」については、
1,075万円以上とされました(
施行規則1条)。
前記1の「高度な専門的知識・技術・経験を持つ」について。
法2条1項に基づき定められた基準では、次のものが該当することとされました。簡略化した表示にしていますので正確なものはリンク先の官報をご覧ください→(平成27年3月18日厚労省告示67号)。
(1)博士の学位を有する者
(2)次に掲げるいずれかの資格を有する者
イ 公認会計士
ロ 医師
ハ 歯科医師
ニ 獣医師
ホ 弁護士
ヘ 一級建築士
ト 税理士
チ 薬剤師
リ 社会保険労務士
ヌ 不動産鑑定士
ル 技術士
ヲ 弁理士
(3)ITストラテジスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
(4)特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
(5)大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニア又はデザイナー
(6)システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
(7)国等によって知識等が優れたものであると認定され、上記(1)から(6)までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者
特例の対象となる事業主
特例(=無期転換申込権が発生しない)は、次の事業主に適用されます。
- 対象労働者に応じた適切な雇用管理の措置に関する計画について、厚生労働大臣から認定を受けた事業主。
- 認定には、厚生労働大臣が策定する、対象労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針(→リンク先参照)に照らして適切なものであることが必要。
特例の具体的な内容
次の期間は
無期転換申込権が
発生しないこととされます。
- 専門的知識等を有する労働者:一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年)
- 定年到達後の継続雇用者:定年後に引き続き雇用されている期間
<管理人注>
1の専門的知識等を有する者については、 「上限10年」とされていますが、この期間のとらえ方については注意を要します。
パンフレットP7(→リンク先)以降に図解があり、そちらをご覧いただくと分かりやすいと思いますので、まずはパンフレットを開けてみてください。
パンフレットP7の下にある図では「プロジェクト(7年)」 の例が掲げられています。この図のうち、無期転換の「申込み」と「無期労働契約に切り替わる時点」に注目してみてください。プロジェクト(7年)の途中で無期労働契約(黄緑色の線)に切り替わっていますね。
これは、雇い入れ時から通算した労働契約期間の長さが、プロジェクトに必要な期間と同じ長さになったところで無期転換の申込権が生じることを表しています。
したがって、「プロジェクトの期間中は、ずっと無期転換の申込権が生じない」と いう認識のまま従業員と雇用契約を結んだり、プロジェクトを進めていくと、会社側が考えていた時期とは異なるタイミングで無期転換の申込権が生じてしまうことがあり得ます。
というわけで、「無期転換申込権が生じる時期」 を見るときは、「プロジェクトの長さ」だけではなく、「労働者をいつ雇い入れたのか」という点にも気をつけていきましょう。
施行期日
平成27年4月1日
概要2
内容をもう少々触れます。
簡略化していますので、正確なものは条文・通達等をご確認ください。
専門的知識等を有する労働者の場合(法4条)
冒頭(1)の
専門的知識等を有する労働者については、「
第一種計画」を作成し、厚生労働大臣の認定を受けます。
第一種計画の様式は下の方にある[資料編]からダウンロードできるようリンクを貼っています(PDF版、WORD版)。
この計画の中には、次の事項を記載します。
- 第一種特定有期雇用労働者の特定有期業務の内容並びに開始及び完了の日
- 能力の維持向上を図るための教育訓練を受けるための有給休暇(労働基準法の規定による年次有給休暇を除く。)の付与などの措置
- その他厚生労働省令で定める事項
参考
上記の
第一種特定有期労働者の特性に応じた雇用管理の措置のうち、「事業主がおかれている実情に照らして適切なものを行うことが必要」とされるものとして、
指針(第2-1:リンク先官報PDFの2ページ目)に次のものが掲げられています。
・教育訓練に係る休暇の付与
・教育訓練に係る時間の確保のための措置
・教育訓練に係る費用の助成
・業務の遂行の過程外における教育訓練の実施
・職業能力検定を受ける機会の確保
・情報の提供、相談の機会の確保等の援助
※詳細は、パンフレットP16に掲載があります。
<管理人注>
上に掲げている雇用管理の措置は、法の施行日(平成27年4月1日)より後に新たに設けたものだけでなく、施行前から取り組んでいるものがあれば、そちらを計画に記載し、実施内容を明示できるものを添付することでも構わないとのこと(厚労省確認済み)。
定年到達後の継続雇用者の場合(第6条)
冒頭(2)の
定年到達後の継続雇用者については、「
第二種計画」を作成し、厚生労働大臣の認定を受けます。
第二種計画の様式は下の方にある[資料編]からダウンロードできるようリンクを貼っています(PDF版、WORD版)。
この計画の中には、次の事項を記載します。
- 第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮など
- その他厚生労働省令で定める事項
参考
上記の第二種特定有期雇用労働者に対し「事業主がおかれている実情に照らして適切なものを行うことが必要」とされるものとして、
指針(第2-2:リンク先官報PDFの3ページ目)に次のものが掲げられています。
高年齢者雇用確保措置を講じた上で
、以下のいずれかの雇用管理に関する措置を行うこととされます。
・高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任
・職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
・作業施設、方法の改善
・健康管理、安全衛生の配慮
・職域の拡大
・知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
・賃金体系の見直し
・勤務時間制度の弾力化
※詳細は、パンフレットP17に掲載があります。
<管理人注>
上に掲げている雇用管理の措置は、法の施行日(平成27年4月1日)より後に新たに設けたものだけでなく、施行前から取り組んでいるものがあれば、そちらを計画に記載し、実施内容を明示できるものを添付することでも構わないとのこと(厚労省確認済み)。
計画の認定申請等
「
施行規則2条~5条(リンク先PDF参照)」では、次のように触れられています。
- 第一種計画・第二種計画に係る認定を受けようとする事業主は、申請書1通及びその写し1通を、その主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出します。具体的な手続きは、パンフレットP13にあり。直接提出するほか、郵送や電子申請も可能です。労働基準監督署を経由して提出することもできます。
- 第一種計画の申請書及びその写しには、就業規則その他の書類であって、第一種特定有期雇用労働者(管理人注:高度な専門的知識を持つ労働者)の特性に応じた雇用管理に関する措置を実施することを明らかにするものを添付します。
- 第二種計画の申請書及びその写しには、次に掲げる書類を添付します。
- 就業規則その他の書類であって、法第6条第1項に規定する第二種特定有期雇用労働者(管理人注:定年到達後に継続雇用される者)の特性に応じた雇用管理に関する措置を実施することを明らかにするもの
- 就業規則その他の書類であって、高年齢者雇用安定法第9条第1項に規定する高年齢者雇用確保措置を現に講じていることを明らかにするもの
- 法に係る申請等のうち、法第11条の報告[管理人注:第一種・第二種認定計画の実施状況についての報告]以外のものについては、社会保険労務士による手続きが認められています。
管理人事務所でも申請や相談は承っていますが、この法律に基づく計画申請の際は雇用管理の措置も講じていく必要があるため、会って話をしやすい距離にいる社会保険労務士を探されることをお薦めします。
ご参考までに、社会保険労務士会で公開している「会員リスト」ページのリンクを貼りますね。