2013年2月5日火曜日

高年齢者雇用に関する最高裁判例

昨年後半の話題になりますが、そろそろ改正高年齢者雇用安定法の施行時期(4月)が近づいてきましたので、関連する判例情報のご案内です。
ちなみに、継続雇用制度に基づく再雇用が争われた訴訟の最高裁判決はこれが初めてです。

判例

電子機器製造会社に対する地位確認などを求めた訴訟
(津田電気計器高年法事件 平成24年11月29日 最高裁第1小法廷)

ポイントと今後の注意点

継続雇用の基準を満たす労働者は定年後も雇用継続を期待する合理的理由があるとし、会社が行った雇用関係終了の扱いに対し、解雇法理を類推適用。
今回の件では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものといわざるを得ない」とされ、雇用関係が存続していると判断されました。

平成25年4月以降、原則として希望者全員を60歳から65歳まで継続雇用することとされますが、一定年齢以降は経過措置により従来の継続雇用の対象者の基準を用いることができます(平成25年4月から12年間)。
基準の設定、運用の際はこのような判例も勘案しながら慎重に行っていった方がよいでしょう。

なお、高年齢者雇用安定法の概要は管理人WEBページにリーフレット等をアップしていますので以下のリンクを参照してください。
http://www.office-sato.jp/hourei/kounenrei/kounenrei02.html

また、経過措置として用いることができる継続雇用の基準に関する労使協定は「平成25年3月31日」までに締結していることを要します。
継続雇用の基準を用いる会社については従業員への説明など協定締結に向けての準備を進めていきましょう。

概要

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条2項所定の継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に基づく再雇用の制度を導入した事業主とその従業員との間に、当該制度に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係の存続が認められた事例

判例要旨

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条2項所定の継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、継続雇用を希望する高年齢者のうち当該基準を満たす者を再雇用する旨の制度を導入した事業主が、継続雇用を希望する高年齢者たる従業員につき、当該基準を満たしていないとして再雇用しなかった場合において、次の1~3など判示の事情の下では、当該事業主と当該従業員との間に、従前の雇用契約の終了後も当該制度に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているものとみるのが相当である。
  1. 当該基準は、高年齢者の在職中の業務実態及び業務能力に係る査定等の内容を所定の方法で点数化し、総点数が0点以上の高年齢者を再雇用するというものであり、当該制度においては、再雇用される高年齢者の継続雇用の最長期限及び労働時間の上限が定められ,従前の基本給の額及び再雇用後の労働時間から所定の計算式で算出される金額が本給の最低基準とされていた。
  2. 当該従業員は、在職中の業務実態及び業務能力に係る査定等の内容を上記方法で点数化すると、総点数が1点となり、当該基準を満たす者であった。
  3. 従前の雇用契約の終期の到来により当該従業員の雇用が終了したものとすることをやむを得ないものとみるべき特段の事情はうかがわれない。