2013年2月14日木曜日

職場のパワハラ実態調査報告(厚生労働省)

昨年の7月から9月にアンケート調査が実施され、その報告書がまとめられました。
※企業調査計4,580社、従業員調査計9,000名


【以下は報告書の一部抜粋です】

パワーハラスメントの発生状況

企業に寄せられるパワーハラスメントに関する相談について、当事者の関係をみると、
「上司から部下へ」
「先輩から後輩へ」
「正社員から正社員以外へ」
といった立場が上の者から下の者への行為が大半を占めている。

パワーハラスメントが発生している職場とは

・上司と部下のコミュニケーションが少ない職場…51.1%
・正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場…21.9%
・残業が多い/休みが取り難い…19.9%
・失敗が許されない/失敗への許容度が低い…19.8%

パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組として実施率が高いのは、

・管理職向けの講演や研修…64.0%
・就業規則などの社内規定に盛り込む…57.1%

パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めるに当たっての課題

・パワハラかどうかの判断が難しい…72.7%

パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進める視点

今回の調査結果から、パワーハラスメントの予防・解決への取組にあたっては、以下の3点を意識して進めることが重要であると考えられる。

(1)企業全体の制度整備
実際にパワーハラスメントを受けた者が相談窓口に相談する比率は極めて低いことから、単に相談窓口を設置するだけでなく、相談窓口が活用され、解決につなげるアクションを促すような仕組みづくりもしていく必要がある。 
さらに、パワーハラスメントに関する研修制度や、就業規則などの社内規定にパワーハラスメント対策を盛り込むことなど、総合的な取組をしていくことが重要である。

(2)職場環境の改善
パワーハラスメントの実態を把握し、解決につなげるアクションを促すためには、上位者がパワーハラスメントについて理解した上で、部下等とのコミュニケーションを行うことにより、パワーハラスメントが生じにくい環境を作り出すとともに、パワーハラスメントに関する相談がしやすい職場環境を作り出すことが重要である。 
また、職場における働き方についても、労使で十分話し合って、労働時間や業務上の負荷によりストレスが集中することのないよう配慮することも、パワーハラスメントをなくすことにつながると考えられる。

(3)職場におけるパワーハラスメントへの理解促進
「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」をもとに、各企業は、自社の状況を踏まえ、労使の話し合いのもと、会社としてのパワーハラスメントについての考え方を整理し、職場においてパワーハラスメントの予防・解決への意識啓発を進めていくことで、パワーハラスメントかどうかの判断やパワーハラスメントといえない相談が寄せられるといった課題の解決に近づくことが期待される。 
パワーハラスメントの予防・解決への取組を進め、従業員の関心が高まることで、一時的にはパワーハラスメントの相談が増えることも予想されるが、しっかりと相談に対応していく中で、各種取組の効果が現れ、将来的にはパワーハラスメントをなくすことにつながると考えられる。