2013年6月8日土曜日

「雇用保険に関する業務取扱要領」の公開

以下のリンク先は、雇用保険の手続きをされている会社の担当者や社会保険労務士にお薦めの情報です。
厚生労働省のホームページに「雇用保険に関する業務取扱要領(平成25年6月1日以降)」が公開されました。

管理人の事務所では、これまで加除式の書籍を購入しながら得ていた情報なのですが、ネットからも得られることとなり良かったです。

というより、今まで公開されていなかった(管理人自身が公開されているのを把握していなかっただけかもしれませんが…)ことが不思議なくらいです。

こういった情報の公開により行政機関への問い合わせの手間や時間を減らすことができ、官民双方のムダな部分を削減することにもつながるため、引き続き行政機関の内部の情報として保持されているものがどんどん公開されていくと良いと感じています。


以下、業務取扱要領のうち、一部を取り上げます。(6月9日追記)

※やや細かい内容について記載しています。
日頃、雇用保険の手続きに従事していない方にとっては退屈な内容かもしれませんので読み飛ばして頂いて結構です。
また、興味を持たれた方や実務で扱われている方については該当ページを記載しますので、できれば原文(取扱要領)の方でご確認ください。

今年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、定年後に継続雇用される方が多いと思いますが、一方では更新されず退職扱いとなるケースも出てくると思います。

定年後の継続雇用者が退職したときに、受給資格の決定ではどのように取り扱われるか(特定受給資格者や特定理由離職者として扱われるか)について触れていきます。

[参考]特定受給資格者・特定理由離職者の範囲
所定給付日数や給付制限期間を決める際に、有利(例:所定給付日数が多い。給付制限期間の3箇月を経ることなく受給する等)に扱われます。



定年退職者の継続雇用後の取扱
取扱要領のうち「一般被保険者の求職者給付」の部分を取り上げます。


p67〜
「特定受給資格者の範囲」の中に次の表記{p73(ト)}があります。
期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったこと

p74 b
60歳定年到達後に期間の定めをしていた者が退職したとき、特定受給資格者に該当するかどうかについて、業務取扱要領では以下のように取り扱うこととされています。
※取扱要領の内容を箇条書きなどで表記を変えたり、管理人の方で補足をしていますので、正しい内容は原文を参照してください。


ケース1

定年退職後の再雇用時に契約更新の上限が定められている場合など再雇用期限の到来に伴い離職したとき。

<1の例>
60歳定年到達後、再雇用

最大の契約更新上限時期を65歳として、1年単位の労働契約を更新

65歳に達したことにより離職

○この場合は、特定受給資格者として取り扱われない。


ケース2

契約更新の上限が定められている場合であって、再雇用期限の到来前に離職したとき。

<2の例>
60歳定年到達後、再雇用(再雇用上限は65歳到達時)。

1年単位の雇用契約が2回更新された。

3回目の更新時に労働者が労働契約の更新を希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかった

○この場合は、特定受給資格者として取り扱われる。


ケース3

・労働者は、定年後の継続雇用を希望していたが、
・就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当した。
・そのため60歳以上65歳未満の定年により離職。

○この場合は、特定受給資格者として取り扱われる。

※ケース3は、「解雇事由又は退職事由」と同一の事由として就業規則又は労使協定に定める「継続雇用しないことができる事由」に該当して離職した場合を含む。


ケース4

・会社では継続雇用制度が導入されている。
・労働者本人が定年後の継続雇用を希望していない場合、及び継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため定年により離職した。

○この場合は、特定受給資格者として取り扱われない。


※ケース4に記載した要件のうち「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため定年により離職した場合」とは…。
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律附則第3項に基づき、平成25年3月31日以前に労使協定により定めた継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため定年により離職した場合を言います。


次に、p77に記載のある「特定理由離職者の範囲」を見ていきます。

ここで触れるのは、次の要件に該当し特定理由離職者とされる者についてです。
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
前述のケース2と異なり、3年以上雇われなかったとき(例えば、61歳になり1回目の更新時を迎えたときに更新されなかったケース)等が、この「特定理由離職者」と扱われるときに該当します。


★注意点
期間の定めのある雇用契約を締結し「3年以上」を経過している者の雇止めの場合は、「特定理由離職者」ではなく「特定受給資格者{取扱要領のp73にある(ト)」に該当します。


以上です。