2013年7月18日木曜日

改:年次有給休暇の取扱い(判例・通達)

平成25年6月6日の最高裁判決を受け、年次有給休暇付与の要件を改めた通達(年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱いについて)が厚生労働省労働基準局長より発せられました。

年次有給休暇の付与要件とは…

まずは基本的な要件を確認していきますね。
簡単に述べると、年次有給休暇は本来出勤しなければならない日の「8割以上出勤」しているときに付与されます。

例)
新入社員の場合、入社後6箇月間の出勤率が8割以上のときに10日付与。
その後は1年ごとに出勤率をみて、8割以上のときは勤続年数に応じた日数付与。


判例は…

無効な解雇により正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日について、年次有給休暇の付与要件(8割以上出勤)をみる際にどのように扱うかが争われました。
 ↓
出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるべき。
(裁判となった事案では)年次有給休暇権の成立要件を満たしているものということができる。


通達

前記判例を踏まえて発せられた通達のご案内です。
http://www.office-sato.jp/_src/sc4260/2013.07.10_rouki_tutatu_nenkyu.pdf

出勤率の算定にあたり「出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする」とされた通達の一部を引用します。
例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。
通達では「全労働日」の取扱いに関し、上記以外のことも触れられていますので、年次有給休暇の管理を行う部門の方は念のため通達原文にてご確認ください。


判例の内容


関連条文

以下は、法令データ提供システム(総務省)の労基法条文リンクです。
労働基準法39条]が年次有給休暇の条文です。

参考情報

2013年7月4日木曜日

労働関係法令のチェックテキスト

秋田労働局で発行している「労働関係法令に係るコンプライアンス・チェックテキスト」の案内です。

掲載内容

大きく分けると次の3つの分類があり、計78のチェック項目が設定されています。
大きなトラブルに発展する前にぜひ活用してみてください。
  • 募集・採用
  • 就労時
  • 解雇・退職等の離職

「いくつも引っかかってしまった」というときは…

すべての事項を一斉に法令の基準に合わせるのは難しいこともあると思います。
  1. まずは【過重労働】【作業環境や作業方法】のように労働者の安全・健康に支障が出てくる可能性があるもの
  2. 次に【採用・退職】など契約内容を巡ってトラブルが発生しやすいもの
このように、法令の水準に達していない事項と問題が発生したときの影響の大きさを考慮し、優先順位をつけながら対応を検討していくとよいですよ。

※上記順番は一例です。基準をクリアしていないものの内容・程度に応じて対応の順番を決めていきましょう。


2013年7月3日水曜日

裁判所における個別労働紛争解決手続について(PDF)

裁判所WEBサイトにて公開された「裁判所における個別労働紛争解決手続について」(PDF)のご案内です。
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/2507_kouhou.pdf

以下、引用です。
Q 労働関係に関するトラブルはいろいろありますが紛争の当事者同士では、うまく解決することができないことも…
このようなとき、裁判所ではどのような手続があるのでしょうか?
A 裁判所では、裁判(民事訴訟)手続をはじめ、地方裁判所における労働審判手続、簡易裁判所における少額訴訟手続民事調停手続など、一般国民から選ばれた労働関係の専門家が関与して実情等を踏まえた解決を図る手続があります。

関連情報です(裁判所WEBサイトより)。

2013年7月2日火曜日

雇用保険 平成25年8月以降の基本手当日額等

平成25年8月以降基本手当日額等が変更になります。

今回の変更は、平成24年度の平均給与額(「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額)が平成23年度と比べて約0.5%低下したことに伴うものです。
具体的な変更内容は以下の通りです。
リーフレットその他の参考資料は、下の方にアップしています。

基本手当日額の最低額の引下げ

1,856円 → 1,848円(▲8円)

基本手当日額の最高額の引下げ

基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。
60歳以上65歳未満6,759円 → 6,723円(▲36円)
45歳以上60歳未満7,870円 → 7,830円(▲40円)
30歳以上45歳未満7,155円 → 7,115円(▲40円)
30歳未満     6,440円 → 6,405円(▲35円)

雇用継続給付の限度額

高年齢雇用継続343,396円 → 341,542円
育児休業給付 214,650円 → 213,450円
介護休業給付 171,720円 → 170,760円


[参考]
雇用保険により受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
この基本手当日額は、次のように算定されます。
なお、非常に大ざっぱな表現で記載していますので、正確に賃金日額の算出方法を把握する場合は後半に参考資料としてアップしたものをご覧ください。
  1. 直前の6か月の賃金の合計を180で割った金額を算出(=「賃金日額」といいます。)
  2. 賃金日額の50~80%(60歳~64歳については45~80%)が基本手当日額とされます。
基本手当日額は、在職中の賃金が高かった方ほど減額の幅が大きく(50%)、賃金が低かった方は減額の幅が少なく抑えられています(80%)。


資料

官報


リーフレット

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/pdf/h250801_leaf01.pdf
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/pdf/h250801_leaf02.pdf

その他の参考情報

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000035j9j-att/2r98520000035jce.pdf

2013年7月1日月曜日

賞与を支払った月に退職した従業員の社会保険料

追記情報:2013年7月にアップして以来、読まれた方から「賞与支払届は提出する必要がありますか?」の問い合わせが数件寄せられていましたので、記事の後半に加筆しました(2014年1月28日追記)。

夏季賞与の支給を終えた会社、あるいはこれから支給する予定の会社も多いと思います。
賞与を支払った月に退職した社員がいたときは、退職の日付により保険料徴収の有無が異なるため注意を要します。


基本事項の確認:保険料徴収

社会保険(健保・介護・厚年)の保険料は、
徴収開始:資格取得月から徴収開始します(※1)。
徴収終了:資格喪失日(※2)のある月の前月まで徴収します
※1 社会保険料の控除は1月のズレがありますので要注意です。例えば、4月入社の場合、「4月分」の給与に対する社会保険料は、5月に支払う給与から控除します。
※2 社会保険では退職日の翌日のことを「資格喪失日」といいます。
※3 取得と喪失が同月にあるときは1か月分の保険料が徴収されます。


着目点

「資格喪失月の前月」までに支払われた賞与が社保料の徴収対象となるため、退職日が「月の途中」または「月末」のどちらであるかが着目点です。

図解の方が掴みやすいと思いますので、以下をご覧ください。

月の途中で退職したとき

賞与支払をした月の途中に退職日がある(=賞与支払月と資格喪失月が同じ)ときは、最終月に払われた賞与からは社会保険料が徴収されません
次の図では、青い線(5月)までに支払われた賞与が保険料徴収の対象となり、その後に払われた賞与は保険料徴収の対象とならないことを表示しています。
※本人負担、会社負担の両方とも発生せず。


月末に退職したとき

賞与支払月(以下の例では「6月」)の末日に退職したときは、賞与支払月の翌月(例「7月」)に資格喪失日があることとなります(「退職日の翌日」が「資格喪失日」とされているため)。
「資格喪失月の前月」までに支払われた賞与が社会保険料徴収の対象となりますので、以下の事例では6月に支払った賞与は保険料徴収の対象となります。


賞与を支払った後で退職の申出があったとき

賞与支払の時点で退職日が分かっているときは、退職予定日に応じて社会保険料を控除または控除なしの判断をしていきますが、賞与支払いをした後に「会社を辞めたい」と申出があったときの扱いについて触れていきますね。

【月末より前の日付(例6/25、6/29等)で退職のとき】
このときは退職月に払われた賞与にかかる社会保険料は発生しませんので、既に控除してしまった分を退職予定者に返還しなければなりません。

まれに、経理上の処理を担当される方から「年金事務所から請求があった金額と会社で計算している社会保険料額が一致しない」とのお話をいただくことがあります。
賞与支払月の退職者がいるときは差異の要因となっている可能性がありますので、退職者の有無や退職日を確認してみるとよいですよ。


【月末(例6/30、7/31等)で退職のとき】
この場合は、退職月に支払われた賞与も社保料徴収の対象となりますので、退職者に対する社会保険料の返還は発生しません


雇用保険料の扱い

雇用保険料の徴収に関しては、社会保険のように「喪失月の前月まで」に支払われたものを徴収対象とするルールはありません。
月の途中の退職、月末退職のいずれであっても、「賞与額×雇用保険率」により雇用保険料額を計算し、徴収します。
※今回の記事の中で触れている「社会保険料」は、健康保険料介護保険料厚生年金保険料を指しています。



2014年1月28日追記

賞与支払届について 

社会保険では、賞与を支払ったときに「賞与支払届」を提出することとされています。
資格喪失月に支払われた賞与は保険料徴収の対象にならないことについては前述の通りです。
それでは、「賞与支払届」はどのようにするか?について触れますね。
結論を先に述べると、保険料徴収の対象とならない者であっても、資格喪失日の前日までに支払われた賞与があるときは賞与支払届に氏名や賞与額を記載して提出をします。

保険料徴収の対象とならない者も賞与支払届を提出する理由は?
これは、賞与にかかる健康保険料の算出と関係があります。
年度(4月~翌年3月)の賞与累計額を算出し、累計額が540万円(注:平成28年4月以降は573万円)を超過する場合は、超過する賞与額に対し健康保険料は徴収なしとされます。

この「累計」は、退職し再就職をしたときも再就職先の保険者(健康保険を運営している「協会けんぽ」「○○健康保険組合」などを「保険者」と呼びます。)が同じであれば、合算をします。

このように、退職者についてもその後の再就職先で賞与が支給されたときに、年間の賞与累計額を算出することがあるため、保険料徴収がない場合であっても賞与支払届を提出するのです。

この取扱いは、退職だけではなく育休中等で保険料徴収を免除されている者についても同様で、育休中に賞与支払があったときは、保険料徴収がない場合であっても、賞与支払届には氏名や賞与額を記載して届出を行います。


参考

2013年6月30日日曜日

年金と雇用保険給付の受給者の届出省略 平成25年10月

6月後半に、厚生年金基金等に関する改正法が公布されました。
これについては別途案内することとし、本日は年金と雇用保険の給付を両方受ける者の届出一部省略に関するご案内です。

制度概要

65歳未満の老齢厚生年金と雇用保険の給付(基本手当・高年齢雇用継続給付)を受給できるときは、老齢厚生年金が支給停止されます。

従来は

雇用保険の給付を受けることとなったため、老齢厚生年金の支給停止要件に該当したときは、「支給停止事由該当届」を日本年金機構に提出する必要がありました。

改正内容

日本年金機構が雇用保険被保険者番号を把握している受給権者については、支給停止事由該当届の提出を不要としました。

[参考]日本年金機構が雇用保険被保険者番号を把握している受給権者とは、具体的には次のいずれかに該当する者です。
  1. 老齢厚生年金の裁定請求の際に裁定請求書に雇用保険被保険者番号を記載した者
  2. 支給停止事由該当届をすでに提出したことがある者

改正の理由

雇用保険被保険者番号や支給停止の要件に該当することとなった年月日などは、厚生労働省職業安定局で把握しており、この情報を利用することで支給停止の要件に該当しているか否かを把握することが可能であるため。

施行日

平成25年10月1日。
支給停止事由該当届の提出を不要とするのは、平成25年10月1日以後に支給停止の要件に該当した65歳前老齢厚生年金の受給権者に限られます。

参考資料

http://www.office-sato.jp/_src/sc4184/2013.06.28_nenkin6_siryou_kounen_koyou_tyousei.pdf

2013年6月29日土曜日

ポジティブ・アクションの紹介

厚生労働省より先月発行されたリーフレットの紹介です。
職場における男女間格差の実態を把握、女性の活躍推進や格差解消に向けての取り組み(ポジティブ・アクション)に関するものです。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku04/pdf/120515-01.pdf

2013年6月26日水曜日

労災就学援護費の一部改定(平成25年4月に遡り適用)

2015.06追記
この記事は、平成25年改正のものです。
2015(平成27年)改正の内容については以下のリンクをご覧ください。
「労災就学援護費の支給についての一部改正及び労災就労保育援護制度の新設等についての一部改正について」平成27年5月18日



業務災害または通勤災害によって亡くなられた者の遺族や、重度障害あるいは長期療養を余儀なくされた者で、その子供等に係る学費等の支弁が困難であると認められるときは、労災の保険給付とは別に労災就学援護費が支給されます。

支給対象の追加

労災就学援護費の支給対象に以下のものが追加されました。
・通信制中学校
・通信制高等学校
・中等教育学校の後期課程の通信制課程
・特別支援学校の高等部の通信制課程
・通信制専修学校

[背景]
通信制大学の在学生は既に援護費の支給対象となっていることや、通信制高校にかかる教育費の現状を踏まえ、通信制大学以外の通信制課程の学校が新たに支給対象とされました。

支給額

・通信制専修学校の専門課程…月額30,000円
・それ以外の通信制…月額13,000円

適用

平成25年4月1日に遡って適用されます。

通達

平成25年6月24日基発0624第2号


関連情報:労災就学援護費の見直しについて

参考資料

こちらのパンフレットのP11に「労災就学援護費」の案内あり。
なお、労災就学援護費の案内の中にある「高校生」の子がいるときの支給額は平成25年4月から変更となっています。以下の関連情報に変更内容を記載しています。
労災給付等

関連情報

今年の4月には高校生の子がいるときの労災就学援護費の額が改定[18,000円→16,000円に引き下げ]されています。

[背景]
公立高校授業料無償制度等の創設による影響や、家庭の教育費負担の現状等を踏まえ改正されました。

通達

平成25年3月29日基発0329第12号

2013年6月23日日曜日

社会保険:外国人のアルファベット氏名登録 平成25年7月以降

平成25年7月から、外国人被保険者の年金記録を正確に記録するための取り組みとして、外国人被保険者のアルファベット氏名を管理することとされました。

外国人の従業員や被扶養配偶者の方の「被保険者資格取得届」「氏名変更届」等を提出する際は、「アルファベット氏名登録(変更)申出書」も一緒に提出します。

注1 添付資料
「在留区分」欄の「2 中長期在留者等」に該当する者については、在留カードのコピーまたは住民票の写し(コピー可)を添付。

注2 電子申請の取扱い
「資格取得届」等について、電子申請により行っている場合でも、アルファベット氏名登録(変更)申出書及び添付書類は、電子申請による取扱いを行っておらず、紙媒体での届出

http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000012518e7OE1POdJL.pdf
※Excel版の申出書は、こちらのリンク先にあります → 日本年金機構:外国人を雇用されている事業主の方 

http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000012524tJJgzqqmK5.pdf

日本年金機構のお知らせや記載例は、以下のリンク先をご確認ください。


[アルファベットの氏名を管理することとした背景]
日本年金機構(以下「機構」)において、外国人の氏名はカナで管理されています。
外国人が住民基本台帳に登録され、アルファベットで管理されることに伴ない、市町村との情報交換においてアルファベット使用が必要となることなどから、機構においても外国人氏名について、カナ氏名とともに(パスポートに表示されている)アルファベットによる管理を進めることとされました。


[関連資料]
平成25年6月20日 第4回年金記録問題に関する特別委員会 資料

2013年6月22日土曜日

受動喫煙防止対策助成金 通達(Q&A・書類作成要領の一部改定)

受動喫煙防止対策助成金」は、事業場における受動喫煙防止対策を推進することを目的とした助成金です。

平成25年5月16日から対象を全業種に拡大し、喫煙室の設置等に対する経費補助率は1/2にアップしました。
この助成金に関する「質疑応答集(Q&A)」と「必要書類の作成要領」の改定について、6月19日に通達が出されていますのでご案内します。


参考情報:制度概要

対象事業主
労働者災害補償保険の適用事業主である中小企業事業主。
中小事業主の範囲については、以下にリンクを貼ったパンフレットを参照してください。

助成対象
一定の要件を満たす喫煙室の設置に必要な経費
工事の着工前に「受動喫煙防止対策助成金交付申請書」を所轄都道府県労働局長に提出し、あらかじめ交付決定を受ける必要があります。

助成率、助成額
喫煙室の設置等などに係る経費のうち、工費、設備費、備品費、機械装置費などの2分の1 (上限200万円)


参考資料

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/jigyousya/kitsuenboushi/dl/pamphlet.pdf

通達

報道発表資料
※平成25年5月16日から対象を全業種に拡大、補助率を1/2にアップ。
厚生労働省ホームページ

2013年6月21日金曜日

脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況 平成24年度

平成24年度の「脳・心臓疾患精神障害の労災補償状況」が公表されました(厚生労働省)。
報道発表資料では、業種や年齢別の労災補償状況も掲載されています。

支給決定数の多い業種、受給者が多い年齢層の労働者を雇用する会社については今後の働かせ方に要注意。
また、精神障害に関する労災補償は過去最多を更新しています。
企業のメンタルヘルス対策はますます重要になってくると思われます。

当informationでは、ちょうど1年前(2012年6月20日)の記事で、脳・心臓疾患、精神障害の労災認定に関する資料をまとめました。
健康障害を防止するために発行された冊子のリンクなどありますので、長時間労働が常態となっている会社の方はぜひご覧ください。


以下、報道発表の中から一部抜粋をします。
報道発表資料には「ポイント」としてもっと詳しく掲載されていますので、関心のある方はそちらをご覧ください。

脳・心臓疾患

労災補償状況
「過労死」など、脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況は次の通り。
  1. 請求件数  :3年ぶりに減少(842件、前年度比56件減)
  2. 支給決定件数:2年連続で増加(338件、前年度比28件増)
業種
支給決定件数の多い業種を掲げます。
  1. 運輸業,郵便業
  2. 卸売業,小売業
  3. 製造業

精神障害

労災補償状況
精神障害に関する事案の労災補償状況は次の通り。
  1. 請求件数  :前年比減少(1,257件、前年度比15件減)
  2. 支給決定件数:過去最多(475件、前年度比150件増)
業種
支給決定の多い業種を掲げます。
  1. 製造業
  2. 卸売業,小売業
  3. 運輸業,郵便業・医療,福祉

2013年6月19日水曜日

改正 障害者雇用促進法のご案内

平成25年7月4日追記
本文中にある「改正概要」のPDF資料は、当初国会提出時のものをアップしていましたが、厚労省WEBサイトにさらに情報を追加したものが公開されましたので、平成25年7月4日に差し替えました。


平成25年6月13日、国会で可決・成立した「障害者の雇用の促進等に関する法律」の改正法についてです。6月19日に改正法が公布されました。

改正法の施行は内容により段階的に行われ、法定雇用率の算定基礎に「精神障害者」を加える改正は、5年後{平成30(2018)年4月}からとなります。

改正法の官報、条文、通達


改正の概要

まずはポイントだけでも押さえておきたいという場合は、「改正概要」をご覧ください。
A4用紙4枚にまとまっているため主な改正点を掴みやすいです。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha_h25/dl/kaisei02.pdf 
↑当初国会提出時の改正概要を貼っていまたが、それより情報を追加されたものが公開されましたので、平成25年7月4日に差し替えました。

条文レベルでさらに細かく見ておきたい場合は、改正法のうち重要と思われる箇所を以下に取り上げましたのでご覧ください。
文字数が多く、読みにくいかもしれませんが青字で強調している箇所を追っていくだけでも、大事な点をおおむね把握できるのではないかと思います。
改正法の全条文を確認するときは、「平成25年6月19日 官報本文」、または下の方にリンクを貼った国会提出時の資料をご覧ください。

Ⅰ 障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応
平成28年4月1日から。

(1)障害者に対する差別の禁止
雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止しました。
  1. 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。(法34条)
      
  2. 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない(法35条)

(2)雇用の分野における均等な機会、待遇の確保等
事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するため、障害の特性に配慮した必要な措置を講ずることを義務付けました。
ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合は除かれます(「過重な負担」がどのようなものかは指針で定める)。
  1. 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。(法36条の2)
      
  2. 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。(法36条の3)
      
  3. 事業主は、1.及び2.の措置を講ずるに当たっては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。(法36条の4,1項)
      
  4. 事業主は、2.の措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。(法36条の4,2項)

(3)苦情の自主的解決・紛争解決援助・調停
  1. 不当な差別的取扱い[法35条:前記(1)2]、障害の特性に配慮した必要な措置[法36条の3:前記(2)2]に関し、障害者である労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関。)に対し当該苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。(法74条の4)
      
  2. 都道府県労働局長は、障害者に対する差別の禁止[法34条、35条:前記(1)]、障害者の特性に配慮した措置[法36条の2、36条の3:前記(2)1、2]についての紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。(法74条の6,1項)
      
  3. 事業主は、障害者である労働者が2.の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない (法74条の6,2)
      
  4. 調停都道府県労働局長は、差別的取扱いの禁止[法34条、35条:前記(1)]及び均等待遇の確保等[法36条の3:前記(2)2]についての紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会に調停を行わせる。(法74条の7,1項)


Ⅱ 精神障害者を含む障害者雇用率の設定 重要
平成30年4月1日から。
  1. 対象障害者{身体障害者、知的障害者又は精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る。)}である労働者の総数を算定の基礎とした障害者雇用率を設定し、事業主はその雇用する対象障害者である労働者の数がその雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数以上であるようにしなければならない。(法43条1項、2項)
      
  2. ただし、施行(平成30年)後5年間に限り、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする。(附則4条)


Ⅲ その他
障害者の範囲の明確化その他の所要の措置を講ずることとされました。
※障害者の範囲の明確化については公布日(平成25年6月19日)から。次のアンダーラインの箇所が改正により追加された部分です。
  • 「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。 )その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいうものとする。(法2条)

    なお、第2条の改正(アンダーライン部分の追加)の意図を、労働政策審議会障害者雇用分科会の議事録(平成25年3月21日)より引用します。
    障害者の定義規定の改正です。こちらは先般の障害者基本法の改正の表現に合わせて、法律の「障害者」のところに発達障害や難病に起因する障害が含まれることを明確にするため、精神障害の下に「(発達障害を含む)」と、「その他の心身の機能の障害」というものを明記するというものです。なお、これは改正の前後で障害者の範囲が変わるものではありません。


    改正の重要箇所の案内は以上です。
    今回の改正に関し、具体的なものはこれから指針(「差別の禁止に関する指針」「均等な機会の確保等に関する指針」において定めていくこととされています(法36条1項、法36条の5,1項)
    当informationにも掲載していきますので、今後の情報にお気をつけください。


    [参考]国会提出時(平成25年4月19日)の資料の一部

    さらに突っ込んで改正が行われるまでの審議内容などを知りたい、という場合は以下のリンク先にある議事録や平成25年3月21日の審議会資料(今回の改正が行われる直前のものです)をご確認ください。


    関連情報

    平成27年4月以降の改正(障害者雇用納付金制度の対象事業主の範囲を変更:労働者数100人超の企業へ)については以下のリンク先(当informationの別記事)をご覧ください。


    2013年6月18日火曜日

    職場における腰痛予防対策指針

    19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」が改訂されました。
    指針の内容および関連情報は以下のリンク先にあります。

    今回は、適用対象を福祉・医療分野等における介護・看護作業全般に広げるとともに、腰に負担の少ない介護介助法などを加えて改訂が行われています。
    腰に負担をかけることの多い作業従事者がいる会社の方は、ぜひご確認ください。

    [参考]
    職場での腰痛は、休業4日以上の職業性疾病のうち6割を占める労働災害となっています。


    以下は、上記リンク先の掲載内容です。

    1 指針の構成

    (1)一般的な腰痛予防対策の総論
    1. はじめに(指針の趣旨・目的等)
    2. 作業管理(自動化・省力化、作業姿勢等)
    3. 作業環境管理(温度、照明、作業床面等)
    4. 健康管理(腰痛健診、腰痛予防体操等)
    5. 労働衛生教育(腰痛要因の低減措置等)
    6. リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステム

    (2)作業態様別の対策(腰痛の発生が比較的多い5つの作業)
    1. 重量物取扱い作業
    2. 立ち作業(製品の組立、サービス業等)
    3. 座り作業(一般事務、VDT作業、窓口業務、コンベア作業等)
    4. 福祉・医療分野等における介護・看護作業
    5. 車両運転等の作業(トラック、バス・タクシー、車両系建設機械等の操作・運転)

    2 主な改訂事項・ポイント

    介護作業の適用範囲・内容の充実
    1. 「重症心身障害児施設等における介護作業」から「福祉・医療等における介護・看護作業」全般に適用を拡大
    2. 腰部に著しく負担がかかる移乗介助等では、リフト等の福祉機器を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱上げは行わせないことを記述
    リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステムの手法を記述
    1. リスクアセスメントは、ひとつひとつの作業内容に応じて、災害の発生(ここでは腰痛の発生)につながる要因を見つけ出し、想定される傷病の重篤度(腰痛に関しては腰部への負荷の程度)、作業頻度などからその作業のリスクの大きさを評価し、リスクの大きなものから対策を検討して実施する手法(労働安全衛生法第28条の2)
    2. 労働安全衛生マネジメントシステムは、事業場がリスクアセスメントの取組を組織的・継続的に実施する仕組み(労働安全衛生規則第24条の2)
    3. これらは、いずれも労働災害防止対策として取り組まれているものであるが、腰痛予防対策においてもこれらの手法が効果的であることから改訂指針に明記
    一部の作業について、職場で活用できる事例を掲載
    チェックリスト、作業標準の作成例、ストレッチング(体操)方法など

    2013年6月14日金曜日

    国民年金保険料の2年前納制度導入 平成26年4月

    平成26年4月から、国民年金保険料の2年前納(2年先の分までまとめて払ってしまう)制度が導入される予定です。

    現行は…
    1年分の前納が認められ、割引額は3,780円(平成25年度)。

    2年前納が導入されると…
    2年間で1万4千円程度の割引となる見込み。

    納付額は…
    1年前納 180,480円 → 176,700円(割引額3,780円)
    2年前納 360,960円 → 346,600円(割引額14,360円)
    ※2年前納額の試算は、平成25年度保険料によるもの。実際は変動することがあります。
    http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034ax9-att/2r98520000034b18.pdf


    以下は余談です。

    14,360円の割引額は大きいけれど一度に約35万円、夫婦揃ってとなると約70万円が飛んでいってしまいます。
    これは払うのが厳しい!というのが管理人の感想です(管理人は個人事業主なので国民年金の被保険者です)。

    今の年金財政状況を考えると、少しでも保険料をかき集めたいのでしょうけれど、新たに導入される2年前納のように取れるところから取るというその場しのぎの策ではなく、6割弱に低迷している国民年金の納付状況や年金制度そのものを見直さなくてはならない時期に差し掛かっているのでは、と考えています。

    もちろん、年金だけではなく生活保護制度や高年齢者の雇用問題、保険料負担をする若年者の雇用問題等も併せ総合的に考えていく必要があるでしょうね。

    ちなみに、国民年金制度は「社会保険方式」を導入しています。
    よく話にあがるのは「社会保険方式」より「税方式」の方が良いのではないかというもの。

    これに関しては、メリット・デメリットがあります。
    関心のある方は「年金 社会保険方式 税方式」のキーワードで検索をしてみると両者の違いを記したサイトがいくつもヒットしますのでそちらをご覧ください。


    管理人自身の考えは…
    「国民皆年金」「強制加入の制度」と言いながら6割弱しか保険料を納付していない状況は、制度として成り立っていない印象があります。

    社会保険制度は素晴らしい理念のもとに成立したと思いますが、保険料を払っていなかった方も生活保護等でカバーされ、結局は「正直者がバカをみる」制度になっていると感じるため賛同し難いものがあります(現行の制度を続けるくらいなら、税方式に移行した方がマシかなと感じています)。

    2013年6月10日月曜日

    現物給与の取扱い変更(社会保険:H25.4.1以降)

    平成26年2月25追記
    平成26年4月以降の現物給与の価額改定については、以下のリンク先をご確認ください。
    http://sr310.blogspot.jp/2014/02/h2641.html


    --- ここから下が平成25年6月にアップした内容です ---

    算定基礎届の提出時期(7月10日)が近づいてきましたね。
    平成25年4月以降、現物給与の取り扱い方法が変わっていますので算定基礎届の書類作成時にはお気をつけください。

    ※健康保険・厚生年金保険の標準報酬の額は、交通費等を含めた給与額に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物給与の額も含めて決定されます。
    当記事は2月13日に公開したものですが、参考資料4以降を追加して6月10日に再アップしました。

    現物給与の価額の適用に係る取扱い

    (1)支社等で勤務する者

    現物給与の価額の適用に当たっては、被保険者の勤務地(支社等)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。
    <解説>
    本社及び支店等を併せて1つの適用事業所とされている適用事業所の場合、支店等に勤務する被保険者についても、これまでは本社の所在地が属する都道府県の現物給与の価額が適用されていました
    現物給与の価額は生活実態に即した価額となることが望ましいことから、改正告示により、被保険者の勤務地(支社等)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用することが原則となるよう、現物給与の価額の新たな適用方法を定めたものです。

    (2)派遣労働者

    派遣労働者は派遣元事業所において社会保険の適用を受けるが、派遣元と派遣先の事業所が所在する都道府県が異なる場合は、派遣事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。

    (3)在籍出向、在宅勤務者等

    在籍出向、在宅勤務など適用事業所以外の場所で常時勤務する者については、適用事業所と常時勤務する場所が所在する都道府県が異なる場合は、その者の勤務地ではなく、その者が使用される事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。

    (4)トラック運転手、船員等

    トラックの運転手、船員など常時勤務する場所の特定が困難な者については、その者が使用される事業所が所在する都道府県(船員については当該船員が乗り組む船舶の船舶所有者の住所が属する都道府県)の現物給与の価額を適用する。


    参考資料1
    (平成25年2月4日基労徴発0204第2号,保保発0204第1号,年管管発0204第1号)
    http://www.office-sato.jp/_src/sc4142/2013.02.04_genbutukyuyo_henkou201304.pdf

    参考資料2
    (平成25年2月4日保発0204第1号・年管発0204第1号,基発0204第1号)

    参考資料3
    http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/0000010387ovGrNG5ltZ.pdf

    参考資料4
    p18に現物給与の取扱変更について記載あり
    http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/0000012221Kwmoo6dzra.pdf
    ガイドブックのp18には「産前産後の休業期間中の保険料免除について」も記載されています。

    実施時期として「平成26年8月までの政令で定める日に実施となります。」と書かれているのですが、こちらは既に政令が公布され、【平成26年4月】から産前産後休業中の保険料免除がスタートすることとなりました。

    産前産後休業中の保険料免除については当informationの2013年5月13日の記事「産前産後休業中の社会保険料免除_平成26年4月より」に掲載していますのでそちらをご覧ください。


    算定基礎届の関連リンク

    ※算定基礎届の記載例、注意事項、提出するダウンロード様式などが掲載されています。