2012年4月16日月曜日

「被用者年金制度の一元化等(略)」に関する法律案(4月13日国会提出)

「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されました(4月13日)

 法案の概要を一言で述べると、厚生年金保険と共済年金の格差(共済優位)を解消していこうといったものです。


 【管理人コメント】
 法案の中身には今後の動向が気になる点もあり。
 同法案附則2条より一部を抜粋しますね。
法附則2条抄 この法律による公務員共済の職域加算額(中略)の廃止と同時に新たな公務員制度としての年金の給付の制度を設けることとし、その在り方について、平成24年中に検討を行い、その結果に基づいて、別に法律で定めるところにより、必要な措置を講ずるものとする。

 共済年金には「職域加算額」といって、厚生年金保険より有利に扱われている部分があります。
 法案の本則ではこれを廃止するとしているので、まあ妥当なところでしょうと言いたいのですが、附則をみると上記のように「職域加算の廃止と同時に新たな制度を設ける」との記載が…。

 どのような内容なのかは今年度中に検討を行い、「別に法律で定める」とあるので詳細は不明です。これ以上、官を優遇する社会保障制度の構築はやめてもらいたいものです。

 民間でいえば「基金」に相当する部分を設けようとするのかもしれませんが、AIJ問題をきっかけに話題なった不安定基金も多く、「年金給付を手厚く」というのは現在の日本の状況で行うべき改正ではないと考えています。


その他の変更内容をいくつか掲げると

  • 未支給年金の給付範囲を厚年にそろえる(共済の方が遺族の範囲が広かった)
  • 共済の障害年金の支給要件に、保険料納付要件を加える(従来、厚年にはあったが共済になかった)
  • 遺族年金では、共済は複数の遺族がいたときに先順位者が死亡等により失権すると、次順位者に受給権が移っていた(これを「転給」といいます。厚年には転給の仕組みがない)が、これを廃止して厚年に揃える。

などがあります。
※詳細は以下のリンク「概要」p3参照。