2012年3月15日木曜日

厚生年金基金等の現状について(やや長文です)

以下の資料は、AIJ問題に関連し、3月14日に設置された「厚生年金基金等の資産運用に関する特別対策本部(第1回)」で配布されたものの一部です。
興味のある方はどうぞ。


【参考】
上記本部は、以下のものを主な業務として設置されました
・厚生年金基金等の運用体制等に関する実態把握
・厚生年金基金等の資産運用に関する今後の在り方の検討

【管理人コメント】
AIJ問題がクローズアップされていますが、それでは他の基金は安泰か?というとそうでもないことが分かります。

例えば「最低責任準備金」を例に挙げると…。

○最低責任準備金を保有している基金の推移
平成12年 94.8%(1,707基金/全1801基金)

平成22年 64.2%(382基金/全595基金)

○最低責任準備金を保有していない(代行割れ)基金
平成12年 5.2%(94基金/全1801基金)

平成22年 35.8%(213基金/全595基金)

と、このような推移になっています。
※「最低責任準備金」とは、代行部分(厚生年金の給付を一部代行する部分)の給付に必要な額であり、現時点で解散する場合に最低限保有していなければならない額のことをいいます。

また、指定基金の概況はというと、総数582基金のうち、すでに81基金が指定されています(平成23年12月1日現在)。

※「指定基金」とは…簡単に述べると、積立水準が低い基金として厚労大臣から指定された基金で、財政の健全化計画に従った事業運営を行うよう指導される基金のことをいいます。

そんなに財政が危ないなら解散すればよいのではないか、と思われるかもしれませんが基金は、厚生年金保険の一部を国に代わって支給しているため、解散するときには、基金が支給するはずであった代行給付に要する費用を一括して返還(分割納付や、返還額を低い額とする特例もあり。上記資料P14参照)することとされ、この返還がネックになって解散したくても解散できない基金もあるようです。

基金の給付は、老後の生活を支える大事なものの一つであり、今後も引き続き動向を見ていこうと思っています。

【関連情報リンク】